気になるあの子 (ページ24)

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浴衣を纏い、いつもより時間をかけてメイクをして

何度も入念に身だしなみを確認した。

予定通りの時間に出たはずなのに

気持ちが走り、

慣れない下駄を履いた足を急かしながら歩く。

『17:30にAちゃんの駅の改札にいるね』
『分かった、17:30ね』

あの日、電車に揺られながら約束した事を思い返す。

普段ならお部屋の飾り棚に置いてある、奮発して購入した腕時計を見る。

長い針は予定より早い15分を指している。

改札口にいると、ドンヒョクくんが待たせちゃったな、って気を遣ってしまうかな。と少し離れた場所にあるベンチに座る。

足の指の間が下駄の鼻緒の部分と擦れて赤くなっていた。

やっぱり、見栄を張らずに絆創膏を貼っておけばよかったな。

ふと下駄から目線を上げると視界の端にドンヒョクくんが入る。

Aは目を見開いた。

いつもの無造作にかきあげられた前髪は、下ろされ雰囲気が違う。

そして練習着かジャージ姿しか見たことがないAにとって紺地のシンプルな浴衣を着るドンヒョクの破壊力はとんでもなかった。

思考停止していAは、ドンヒョクがスマホを確認する様子を見てはっ、とした。

時間を確認すると17:30になりかけている。

慌てて立ち上がってドンヒョクの元へ駆け寄る。