5. ページ5
「Aちゃん、眠いの？
またお母さん達に何かされた？」
ホームルーム中、ナナちゃんが話しかけてきた。
教室は騒がしいから、話していても問題はないみたい。
「ううん、大丈夫。」
「…
Aちゃん、僕に遠慮する必要なんてないんだからね？
僕だって、僕のお母さんだって、Aちゃんの味方だからね。」
ナナちゃんはそう言うけど、簡単にナナちゃんを頼れない自分がいる。
ナナちゃんは昔から私のことをすごく心配してくれてるけど、きっと私がこんな環境じゃなかったら、何とも思ってないと思う。
ナナちゃんは優しいから、私みたいな人を見て見ぬふりができないだけだ。
「本当に大丈夫だよ。
ありがとうね。」
「…。」
ナナちゃんは何か言いたそうだったけど、結局何も言わずに前を向いた。
「よ、A！」
「…ドンヒョク…。」
「お前もまた家帰れねーの？俺も。」
ドンヒョクは、ブランコに座ると、私の方を見る。
借金取りに追われてるのに、何でこんなニコニコ笑えるんだろう。
「父ちゃんがさ、今日までに100万返すって言ったのにさ、俺置いて逃げやがった。
あいつら来て危なかったけど、何とか逃げてきたわ。
あ、でも今日は靴ちゃんと履いてきた。」
「ほら」なんて言いながら、私に見せてきたのは、私があげた靴だ。
だけど私が気になったのは、靴ではなくて、足首の傷。
「…痛そう。」
「心配してくれるんだ。」
「心配、しないわけがないよ。」
私がそう言うと、ドンヒョクは「そっか」と呟いた。
すると急に、立ち上がって私の前に来る。
「俺もAが心配なんだけど。」
「…え？」
「どうしたの、その青アザ。」
ドンヒョクの指は、私の脛を指している。
「…蹴られた。」
「誰に？」
「…妹。」
私がそう言うと、ドンヒョクは眉をひそめた。
「…私だけ、家に居場所がないの。
私は妹みたいに可愛くないし、頭もよくないから。」
私がそう言うと、ドンヒョクはただ黙って私の頭をポンと撫でた。
…きっと、似た者同士だからかな。
ナナちゃんには言えなかったこと、ドンヒョクには簡単に言うことが出来た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1417人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
世莉 - 名無し12349号さん» コメントありがとうございます！楽しみにしていただけて嬉しいです！2章でも愛重めヘチャン楽しんでいただければと思います！ (4月13日 6時) (
レス) id: 7277dbf024 (このIDを非表示/違反報告)
名無し12349号(プロフ) - コメント失礼します❕ほんとに面白くて最近毎日チェックするくらい楽しみでした！ヘチャン重めの愛がすごく刺さりました🥺💗第二章も楽しみにしています！！ (4月10日 22時) (レス) @page48 id: fa94027d31 (このIDを非表示/違反報告)
世莉 - 芽依さん» コメントありがとうございます！他の作品も何度も読んでいただいて、本当に嬉しいですTT更新が不定期でご迷惑をおかけしますが、最後まで頑張ります！ (4月9日 7時) (レス) id: 7277dbf024 (このIDを非表示/違反報告)
世莉 - sn9pvdztkkさん» コメントありがとうございます！何周も読んでいただけて本当に嬉しいですTT不定期更新ですが、更新も頑張ります^^ (4月9日 7時) (レス) @page44 id: 7277dbf024 (このIDを非表示/違反報告)
芽依(プロフ) - コメント失礼します！世莉さんの作品が大好きで、全ての作品をなん度も読み返してます！！ほんとに最高すぎて更新を毎日楽しみにしてます🥰お身体に気をつけて作品を作っていってくださると嬉しいです☺️ (4月8日 21時) (レス) id: b14c07a3ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：世莉 | 作成日時：2024年3月14日 12時
