Another Story 1.15 -End- ページ49
夜景が見えるレストランで、一人そわそわする俺。
何度も頭の中でシュミレーションをしたから、完璧だと思うけど、それでも緊張する。
”成功しますように”
そんな願いを込めながら、ポケットの中に忍ばせている小さな箱を握りしめた。
「ドンヒョク！待たせてごめんねっ…！」
「ううん、お仕事お疲れ様。」
少しだけ乱れた髪を整えてあげると、いつもみたいにニコニコと笑う。
「お腹すいたでしょ？」
「うん！
…けど、ここ高そうだよ…。」
「大丈夫だよ！」
社会に出始めて数年が過ぎた。
世間一般からすれば安い給料かもしれないけど、コツコツと貯めてきたおかげで貯金はそこそこある。
まぁそんな貯金も、俺のポケットに入っているこの小さな箱の中身にほとんど費やしたんだけどね…。
「美味しい！」
そう言って笑顔を浮かべて、呑気にご飯を食べるAの一方で、俺は近づくサプライズに緊張していた。
「A。」
ご飯を食べ終えて、きれいになったテーブルの上。
俺はポケットから小さな箱を取り出して、そこに置いた。
「っ…！？」
驚いて、口をハッと隠すA。
「…A、結婚しよう。」
俺がそう言って箱をあけると、中身を見て、Aは目を見開いた。
「…っ、びっくりした…。」
心臓が大きくなりすぎて、Aにも聞こえてそうだ。
おそるおそるAを見れば、Aは笑顔を浮かべている。
「…結婚したい、ドンヒョクと…。」
返事を聞き終える直前、Aを抱き締めると、周りからは拍手の音が沢山聞こえた。
「お待たせしました。
こちら、チョコレートケーキです。」
俺がすることは終わったはずだ。
なのに、目の前にはホールのチョコレートケーキが置かれた。
「頼んでな…
…っ！」
店員の顔を見た瞬間、頭を殴られたような気分になった。
「…”僕からの”サプライズです。」
そう言って笑った時に垂れる目に、寒気がする。
ケーキに乗ったクッキーのプレート。
そこには、「Aずっと愛してる」そう書かれていた。
End
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ナギ(プロフ) - とても面白かったです！でも恐いです笑ロンジュンが一番気の毒ですね……新しい作品もお待ちしております。 (2023年3月29日 16時) (
レス) @page50 id: b8f2817426 (このIDを非表示/違反報告)
XLR7CMroSzOYUFU(プロフ) - 最高でしたありがとうございました (2022年8月3日 16時) (レス) @page50 id: 58b6c00705 (このIDを非表示/違反報告)
saki(プロフ) - 完結おめでとうございます！本当に面白い作品に出会えて嬉しい限りです！ケーキのくだり、めっちゃ鳥肌たちました… (2022年6月24日 17時) (レス) @page50 id: 00b56992b8 (このIDを非表示/違反報告)
alone99(プロフ) - いや、最後鳥肌…完結おめでとうございます！ (2022年6月24日 14時) (レス) @page50 id: 7bd05b70b6 (このIDを非表示/違反報告)
hana(プロフ) - 完結おめでとうございます！いやか､最後の最後まで…まさか過ぎました…！！とても素敵なお話でした！ (2022年6月23日 21時) (レス) @page50 id: 7509578280 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：世莉 | 作成日時：2022年4月1日 22時
