Another Story 1.9 ページ43
『ねぇ聞いた？
ジェノ君、久しぶりに学校来たって！』
Aからカトクのことを聞いてから数日後。
登校すると、そんな噂話と共に鋭い視線が俺達を突き刺した。
あの日結局、俺はAの携帯を借りると、あいつをブロックした。
Aは不安そうにしていたけど、いちいち気にしない方がいいと思ったから。
『ジェノ大丈夫！？』
『皆心配してたんだよ！？』
隣の教室の前にできた人だかり。
中心は案の定イジェノだ。
最悪なことにこの集団の横を通らないと、俺達は自分の教室に入れない。
俺達の存在に気づいた集団を無視するように、俺はAの手を引いて教室に向かう。
「A。」
集団の中心からそんな低い声が聞こえた。
廊下は、一瞬で静かになる。
「…どうして僕の連絡を無視するの？」
「っ…。」
「僕達、まだ別れてないのに。」
…何なの、こいつ。
それ、わざわざこんな人が見てるところで言う必要あるのかよ…。
「…
ねぇっ、ジェノ。
こんな女、さっさと別れなよ！！」
イジェノの言葉を聞いた取巻きはそう言う。
「だって、この女はジェノのこと捨ててドンヒョク君と付き合ってるんだよ！？」
Aを指差しながら「この女」とか嫌な言い方をする奴にイラっとする。
大体、部外者のくせに口だしてくんなよ。
「人聞きの悪い言い方すんじゃねぇ、
Aは何も悪くないっ…！」
俺がそう言えば、その女は俺を睨む。
そしてその女は俺に更に何か言おうとしたのか、口を開く。
「…僕はAと別れたくない。」
「…へ？」
女が何かを言おうとしたとき、イジェノは女を遮ってそう言った。
「…Aのこと、好きだから、ずっと…。」
「…っ！」
「…
とにかく、カトク、返事待ってるから…。」
そう言うと、小さな笑みを浮かべて俺達に背を向ける。
爆弾発言をするだけして、イジェノは自分の教室に入っていった。
周りのやつらは散々Aにイジェノと別れろだの近づくなだの言ってたのに、その一件から連絡を返してやれとか俺と別れろと言うようになった。
Another Story 1.10→←Another Story 1.8
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1362人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナギ(プロフ) - とても面白かったです！でも恐いです笑ロンジュンが一番気の毒ですね……新しい作品もお待ちしております。 (2023年3月29日 16時) (
レス) @page50 id: b8f2817426 (このIDを非表示/違反報告)
XLR7CMroSzOYUFU(プロフ) - 最高でしたありがとうございました (2022年8月3日 16時) (レス) @page50 id: 58b6c00705 (このIDを非表示/違反報告)
saki(プロフ) - 完結おめでとうございます！本当に面白い作品に出会えて嬉しい限りです！ケーキのくだり、めっちゃ鳥肌たちました… (2022年6月24日 17時) (レス) @page50 id: 00b56992b8 (このIDを非表示/違反報告)
alone99(プロフ) - いや、最後鳥肌…完結おめでとうございます！ (2022年6月24日 14時) (レス) @page50 id: 7bd05b70b6 (このIDを非表示/違反報告)
hana(プロフ) - 完結おめでとうございます！いやか､最後の最後まで…まさか過ぎました…！！とても素敵なお話でした！ (2022年6月23日 21時) (レス) @page50 id: 7509578280 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：世莉 | 作成日時：2022年4月1日 22時
