Another Story 1.12 ページ46
嫌な予感がして、すぐにAに電話をかける。
「っ、何ででねぇんだよ…っ。」
何度かけても、聞こえるのは無機質なコール音だけ。
不安が大きくなって、心臓がバクバク音を立てる。
施設から近いアパートに住んでいるけど、走っているこの時間がすごく長く感じた。
「Aっ！！」
家に着くと、鍵を開けてそう声をかける。
ふと下を見ると、玄関には俺のものじゃない男物の靴がおいてあった。
「…っ、あいつ…。」
走ってきて暑いはずなのに、かいているのは冷や汗だ。
もう終わったと思ったのに、どうして…。
靴を脱いで急いで部屋に入る。
「っ、てめぇAに何してんだよっ…！！」
ソファーの上で、Aはイジェノの下敷きになっていた。
涙を流しながらぐったりとするA。
いつも着ていた長袖は脱がされて、Aが隠していたキズがはっきり見える。
「Aっ…！」
イジェノを押して、Aをイジェノから引き離す。
俺は着ていたパーカーを脱ぐと、Aに着せた。
「…ずーっと、俺は気になってたんだよ。」
「っは…？」
「Aが僕に話してくれないこと。
僕に隠して、君にだけ教えてたこと。
ずっと、ずーっと、ずーーっと、知りたくてたまらなかった。」
イジェノをそう言うと、笑みを浮かべながらこっちを見る。
「腕の大きいキズ。
…それとも、
Aも気づかなかった背中にある小さな火傷の跡かな…？」
「…っは…？」
「…
あれ？もしかして君も知らなかった？」
俺を煽るようにケラケラと笑うイジェノ。
俺の手と繋がれたAの手はカタカタと震えている。
「…A。
…僕からは一生、逃げられないんだよ。」
そう言って笑うイジェノに、怖さを感じるのは何度目だろうか。
Aへの執着心は、想像を越えていた。
…俺達は、どうすればこいつから逃げられる？
『警察だ！！動くなっ！！』
どうすればいいのか混乱していると突然、玄関からそんな声が聞こえ、警察が家に入ってきた。
Another Story 1.13→←Another Story 1.11
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1356人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナギ(プロフ) - とても面白かったです！でも恐いです笑ロンジュンが一番気の毒ですね……新しい作品もお待ちしております。 (2023年3月29日 16時) (
レス) @page50 id: b8f2817426 (このIDを非表示/違反報告)
XLR7CMroSzOYUFU(プロフ) - 最高でしたありがとうございました (2022年8月3日 16時) (レス) @page50 id: 58b6c00705 (このIDを非表示/違反報告)
saki(プロフ) - 完結おめでとうございます！本当に面白い作品に出会えて嬉しい限りです！ケーキのくだり、めっちゃ鳥肌たちました… (2022年6月24日 17時) (レス) @page50 id: 00b56992b8 (このIDを非表示/違反報告)
alone99(プロフ) - いや、最後鳥肌…完結おめでとうございます！ (2022年6月24日 14時) (レス) @page50 id: 7bd05b70b6 (このIDを非表示/違反報告)
hana(プロフ) - 完結おめでとうございます！いやか､最後の最後まで…まさか過ぎました…！！とても素敵なお話でした！ (2022年6月23日 21時) (レス) @page50 id: 7509578280 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：世莉 | 作成日時：2022年4月1日 22時
