永久との別れ ページ10
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TY side
MK「…それで、Aとは話せた？」
TY「まあ…」
Aが帰る頃を見計らったかのように、俺の部屋へやってきたマーク。見るたびにその表情が大人びていく気がする。
彼は俺の曖昧な返事に苦笑し、窓の外を眺めながら口を開く。
MK「雨、やんだね」
TY「え？ああ…そうか、そんなに時間が経ったんだ」
MK「ピクニックのことは？Aに話せた？」
TY「えっ…あ、ピクニック…」
MK「わ、忘れてたんだ！？」
マークは勘弁してよ、と笑う。
俺はすっかり忘れていた。…そんなこと話せるような空気でもなかったし、と、心の中でだけ言い訳をする。
マークは言っていた。
俺の願いが成就すれば、呪いは解けるかもしれない。
つまり、今世で俺の恋が実り、なんの未練も怨念も無くなれば、Aの呪いは解け、そして…
俺のこの、永い旅も、終わりを告げるのではないか。
TY「…ごめん。色々動いてくれてありがとう…」
MK「ううん。俺がしたくてやってることだからいいんだ。Aには幸せになってほしいし、テヨンイヒョンにも幸せになってほしい。それに…」
TY「…」
MK「…あなただって、散々苦しんできたことを俺は知っているつもりだから。もうその禊の旅は、終えてもいいころなんじゃないかな」
TY「マーク…」
MK「…俺は…」
マークは自分の手首を見つめる。
少し前まではリストバンドをしていたのが、今はもうそれを外していた。
…隠しきれない、そんなところまで広がってきたのだろう。
マークの、白く石化した手首の皮膚から、乾いた白い粉がぽろぽろと落ちた。
MK「俺は、このために生まれてきた気がするから」
MK「二人の道をもう一度、重ねるために」
…吸血鬼も、人間と同じ。
様々な役目を背負って生まれてくる者がいる。
吸血鬼であることを否定し、自由を求める者。
人間との和解を目指す者。
花嫁を崇め、祀り上げる者。
自らの運命を諦め、密やかに生きる者。
マークの家系は皆…
…自己犠牲の下に、何かを変えようとする勇者たちだった。
そういう者たちを見て幾度となく思ってきた。
どうして、未来ある者たちの命の芽は摘まれ、俺ばかりが生きているのか。
こんな罰など、耐え難い。
どうにかして、マークを救えないか。
彼が奔走すればするほど、その眩しいばかりの自己犠牲に、俺の心は痛むばかりだった。
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れいら(プロフ) - 閲覧頂きありがとうございます、本編では文字数オーバーなのでこちらから失礼します。公開が大変遅れてしまいましたが5章目が完成しました。次章で最終章になります。公開まで今しばらくお待ちください。 (2023年3月2日 11時) (
レス) id: 0149abc0ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2023年3月2日 11時
