私の選択 ページ8
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テヨンが語った、長い長い、昔話。
私は自分の記憶の奥底に、彼が語る景色が眠っているような、やっぱり何も憶えていないような、そんな曖昧な感情で、嘘のような真の話を静かに聞いていた。
テヨンは一息つくと、静かに紅茶を飲んだ。
彼は私を一瞥し、苦笑いをする。
TY「…まるで信じられない話でしょ？」
「…」
私は少し黙ったあと、首を横に振った。
テヨンは目を微かに見開く。
伸びた髪を耳にかけ、私は彼を見上げた。
…ここに来てから、本当に色々なことがあった。
「私が尋常じゃない運命のなかで試されているって、ここに来てからもう何百回も感じてきたよ」
TY「…」
「だから今さら信じるとか、信じないとか、無い。ただ受け入れるだけ。テヨンが嘘をつくはずが無いから」
TY「A…！」
ぱっと、あまりにも純粋に、彼は嬉しそうな顔をする。
テヨンは辛い思いを沢山してきて、それ以前に千年もの時を生きてきているはずなのに、どうにも清廉潔白、ピュアな部分を大いに残している感じがする。そう、それはまるで子どものように、誰かに傷付けられるには危うすぎるほどの純粋さ。
…そんなところに、かつての私は惹かれたのか。
何も覚えていない、むしろ私だったのかも分からない。生まれ変わりとか言われても、わけわかんない。
理由もなくテヨンに惹かれ続けたことの意味がようやく分かった。
テヨンが私の運命を仕組んでいたことに、憤りに似た感情が湧かないと言えば、それは嘘になる。むしろ恨むべき相手はまさにテヨンなのかもしれない。
だけど彼は言った。
憎しみは何も生まない。
…まさにその通りだと、私も思うのだ。
TY「…一つだけ言いたいことがある。前世の君に、言えなかったこと」
「…え？」
TY「いくら俺が君の命を呪おうと、それでもこの世に生まれてきた限り、君の人生は君の人生だ。Aは誰かを自由に好きになり、どこかで自由に生きる権利が当然ある。それに…」
TY「俺はもう何百年も人の血を口にしていない。この不死の身体は、俺の権力や強さの象徴ではなく、俺に科せられた罪の象徴だ。だから、かつてのような力だってもう無い。現に、この森の中にも、俺の思想に反対する因子が複数存在する。…その異物の侵入を防げなかった俺は、力が尽きるまでそう長くないと思う」
TY「AはAの選択をしてほしい。今度こそ、自由に…」
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れいら(プロフ) - 閲覧頂きありがとうございます、本編では文字数オーバーなのでこちらから失礼します。公開が大変遅れてしまいましたが5章目が完成しました。次章で最終章になります。公開まで今しばらくお待ちください。 (2023年3月2日 11時) (
レス) id: 0149abc0ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2023年3月2日 11時
