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「この薔薇の花って、どうしてこんなに香りが強いのかな」
TY「ううん、なんでだろ。俺の力が込められているからかも」
「…ねえ、さっき、どうやってこの花畑…生み出したの？」
TY「……わかんない」
「え？」
二人で、薔薇のなかに腰を下ろし、ぼんやりとその景色をどこか夢心地で見つめながら会話をする。
テヨンの発言に思わず振り向けば、彼は苦笑した。
…その表情が、やけに大人っぽく感じる。
だから、前から、好きだった。
TY「Aがあそこから飛び降りてきて…」
テヨンが指さす先は、私がいた屋上だ。
放物線を描くように、テヨンは指先で空中をなぞる。
…さっきの、落下した瞬間を思い出して、少し身震いしてしまった。
テヨンはそんな私に気付いたのか、無言で肩を抱き寄せてくれる。
TY「危ないって、思ったの」
「うん」
TY「どうにかして、受け止められないかって…走りながら、とにかく強く祈ってた。そしたら…俺もよく気付かないうちに、こんなふうに薔薇の花が広がっていたんだ」
「…すっご」
TY「ふふっ、俺もびっくり。…これじゃあ俺の力、ぜーんぶ使い果たしちゃったようなものだよ」
あっけらかんと彼はそんなことを言う。
両足を伸ばし、テヨンは微笑んだ。
私の肩に頭を乗せる仕草。
…不思議と、そんな些細なことで心が満たされていく。
TY「…君をこんな形で失うわけにはいかないでしょう」
「…」
TY「…たくさん、たくさん、辛いことがあったと思うけど。もう、生きていたくなんかないって…そんな思いできっと、この１か月、独りで過ごしていたと思うけど…」
「…１か月？そんなに経っていたの？」
それすらも分からない自分に驚愕する。
そして私は同時に、彼の言葉を思い出した。
…あの、憎らしい笑顔も。
だけど、ふるふると頭を横に振り、テヨンと向き合う。
まだ、正直、自分でも受け入れられていない。
何もかも、受け入れられていないけれど。
「あのね、テヨンア。あたし…吸血鬼になった、かも…しれない…」
TY「…！ど、どうして…！？」
驚愕するテヨン。
私も自分の気持ちを落ち着かせることで精一杯ではあるけれど、誰かに話すことで心が落ち着くことだって、あるかもしれない。
相手がテヨンなら、尚更だ。
私は、私がジャニから聞いた一切のことをテヨンに打ち明けた。
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れいら(プロフ) - 閲覧頂きありがとうございます、本編では文字数オーバーなのでこちらから失礼します。公開が大変遅れてしまいましたが5章目が完成しました。次章で最終章になります。公開まで今しばらくお待ちください。 (2023年3月2日 11時) (
レス) id: 0149abc0ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2023年3月2日 11時
