また触れた微笑み ページ24
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「…あ」
HC「……」
日直が一周したあとの席替え。
たまたま振られた番号の位置に机を持っていけば、窓側でラッキーだなんて思っていたところに、隣にはヘチャンがやって来た。
…あれから、口を聞いていない。
話しかけるタイミングも無く、私を見かければ露骨に避けるようになったヘチャン。
夏休みの間は茶色だった髪を大人しく黒に戻し、少し痩せたのか、なんだか以前よりもぐっと大人っぽく見えるようになった。そんな分かりやすい変化すら今の今まで気付かなかったくらいには、彼のことをこれまで遠くから見ることしか出来なかった。
「ね、ねえ…」
HC「…なに？」
「その…」
元気だった？
…そんな、つまらないこと。
こんなことしか訊くことが出来ない。
一瞬の躊躇いを、学校のチャイムが無情にかき消していく。
ヘチャンはふいと黒板の方を向き、やっぱりつまらなさそうに頬杖をついた。
私は溜め息を吐き、窓の外を見つめる。
この頃は風もどんどん冷たくなってきた。びゅうと、強い風が吹き込んできて、私はカーディガンの袖をぎゅっと掴んだ。
…なに、意地張ってんのよ。バカ。
あんたのそのガキ臭いところが、私は苦手だ。
つまらない学校で、つまらない一日を終える。
もともとクラスに友達はいない。
私は相手が人間だろうが吸血鬼だろうが、やっぱり他人とはどこか相容れない性分なのだろう。
ブレザーのポケットに手を突っ込み、空になった煙草の箱をくしゃくしゃに握りながら帰路につく。
やけに赤い空と、伸びた影。
…私、これから、どうしようかな。
ソンチャンはもう居ないし、ヘチャンだって居ない。
テヨンは呪いなんて気にせずに、私らしく生きていけと背中を押してくれた。
じゃあ、私はひとりで、どうしたいんだろう。
HC「あのさ」
「っ…！わ、ちょっと…びっくりした」
ぼーっと歩いていたら、寮の門に寄りかかって立っていたヘチャンに呼び止められる。私は思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。
彼はくすりとも笑わず、冷たさと、それでも少し情が残ったような眼差しで、私を真っ直ぐに見つめていた。
HC「ちょっと話さない？」
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れいら(プロフ) - 閲覧頂きありがとうございます、本編では文字数オーバーなのでこちらから失礼します。公開が大変遅れてしまいましたが5章目が完成しました。次章で最終章になります。公開まで今しばらくお待ちください。 (2023年3月2日 11時) (
レス) id: 0149abc0ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2023年3月2日 11時
