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TY「鬼については…正直俺もよく分からない。だけど間違いなく、君の血を狙っている。血だけじゃなく、下手したら命までも…」
「…！」
TY「どうやら企みがあるらしい。吸血鬼を装い此処へ侵入してきた」
「ええ…」
TY「悪しき魂だと聞く。…きっと、君の人格を捻って、自分の思い通りに動かそうとして、君のことを慕う人を遠ざけるためにわざとAをおかしく振る舞わせたんじゃないかな」
…そう、か。
私がおかしくなった理由が、本当にテヨンの言う通り鬼の仕業だとすれば、テヨンの言うことと実際に起こったことは合点がいく。
だとすれば…
…嫌だ、信じたくないけど、だけど…
TY「俺ももっと調べてみる。…ごめん、君を護れなくて」
「違う、そういうことを言いたかったんじゃなくて…」
TY「…ふふっ、いいんだ。大丈夫、これからは…君に鬼のまやかしが効かないようにしよう」
テヨンはそう言うと、私のことを抱き寄せた。
薔薇の香りがむせかえるようなその胸の中。私はふと催眠にかけられたように、意識が一瞬だけ遠のく。
テヨンが私の耳元に、何かを囁いた。
ぎゅっと、私の身体を抱く。
その力強さは、さながら私にまで力を与えるようだった。
ふと正気を取り戻し、テヨンのことを見上げると、彼は優しく微笑んでいた。夜の始まりを告げるように吹いた冷たい風で乱れた私の髪を、優しく撫でる。
その穏やかな、海のような包容力を感じさせる笑み。
私はテヨンから目を離せずいた。
この腕の中にずっといれば、私はきっと…
…一生しあわせで、彼に護られて、暮らしていけるのにって。
だけど、次の瞬間には思い出す。
これは私の問題だ。
私に近付いてきた、その鬼とやらが狙っているのはテヨンじゃない。私自身だ。
いつまでもただ護られているもんか。
鬼だかなんだか知らないけど、あたしのことも、テヨンのことも、ヘチャンやソンチャンのことも傷付けるようなやつは、たとえ人間だろうがなんだろうがぶっ飛ばしてやる、なんて。
いいよ、かかってきなさいよ。
私はもうあの頃の私じゃない。
…私には、テヨンが居るんだ。
だから抗ってみせる。戦ってみせる。
鬼、
…そんな本性を隠して、甘い言葉で私を誘惑した…
TY「鬼は…」
TY「その力を発揮するとき、瞳が紅く染まるんだ」
…あいつなんかに、私はもう蹂躙されない。
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れいら(プロフ) - 閲覧頂きありがとうございます、本編では文字数オーバーなのでこちらから失礼します。公開が大変遅れてしまいましたが5章目が完成しました。次章で最終章になります。公開まで今しばらくお待ちください。 (2023年3月2日 11時) (
レス) id: 0149abc0ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2023年3月2日 11時
