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「そういえば、テヨン」
TY「うん？」
空が茜色に染まる。よく晴れた日だから、とても美しい夕暮れが訪れた。
二人で誰にも邪魔されない時間を過ごし、広げたランチボックスや紅茶の道具を片付けながら、私はふとしたことを思い出した。
「最近…ううん。結構前から、かな。理由も分からないけど、なんだか私のなかにもう一人の私がいるみたいで、たまに暴走するの」
TY「暴走する？」
「うん。…その、言葉にするのは恥ずかしいけど、…特定の相手の身体を求めて抑えられなくなるとか、気が狂ったように相手のことしか考えられなくなったり…」
TY「…！」
そうだ。
ユウタと、それからジャニと対峙するときの私のこと。
やっぱり何度考えても、あのときの私はおかしかった。まるで何かの症状のように体中が熱くなって、喉から手が出るほど相手の身体が欲しくなる。貪り尽くして、めちゃくちゃに自分自身が破滅したくなる。
あの誘惑というか、衝動に駆られて、それに打ち勝てなくなった私は、結果としてヘチャンのことを傷付けることになった。ソンチャンにも、穢れた女だと言われてしまったのだ。
だけど、言い訳がましいけれど…
あの状態の私は、絶対に“私”じゃない。
「何者かに支配されて、自我を保てない状態が一定期間続くの。何かにうなされたみたく…それこそ呪いにかかったみたいに、自覚症状はなくて。…テヨン、何か分からないかな」
TY「…それ、誰かに会ってから始まった？その状態が最初に起こったときのこと、覚えてない？」
「ええっと…」
…いつから、だったっけ。
そう言われるとピンとこない。全く思い出せない。
それでもテヨンは何かに心当たりがあるようで、険しい表情になる。
TY「…鬼がもう、君に近付いたか」
「…鬼…？」
…勘弁してよ。
これ以上、ヒト以外のものに登場されたら困る。私はどれだけ異形の者たちに好かれたら済むのだろうか。
そんな気丈な思いとも言えるし、ある意味本当に呆れたとも言えるし、要するに鬼とやらへの恐怖心よりも疲弊が勝ったところで、テヨンは話を続けた。
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れいら(プロフ) - 閲覧頂きありがとうございます、本編では文字数オーバーなのでこちらから失礼します。公開が大変遅れてしまいましたが5章目が完成しました。次章で最終章になります。公開まで今しばらくお待ちください。 (2023年3月2日 11時) (
レス) id: 0149abc0ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2023年3月2日 11時
