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「なんか…変な感じ」
TY「え？」
「ふふっ、ここでテヨンと筆談しないで、話しているのが。それに、一緒に食事しているのも」
TY「あははっ、そうだね。でも嬉しいよ」
「…うん。私も嬉しいよ、テヨン」
テヨンと過ごす時間。
それはいつも、どこか不思議で、切なくて。意味も分からず彼に惹かれることへの不気味さも覚えていた。
だけど今、あたたかな陽射しに、小鳥の囀りに、噴水の流麗な音。美味しいテヨンの料理に、彼の笑顔。
彼のちょっととぼけた発言と、少年のようにはにかむ仕草。
目の前に広がる光景すべてがうららかだった。
「私、あなたの声を聞いたときね。何も不思議に思わなかったの。違和感がないっていうか」
TY「そうだったの？」
「うん。私の記憶は覚えていなくても、魂はあなたの声を覚えていたのかな。…ふふっ、なんてね」
TY「A…」
そんな、私にしてはロマンチックすぎる発言をしてみる。
だけど、テヨンは感動したかのように、一瞬だけそっぽを向いたかと思えば、その大きな瞳を潤ませていた。
そして、美しく微笑む。
そんな彼の仕草に、胸が締め付けられる。
この世でたったひとり、愛する人を失って
自分は人間とは異なる存在で、千年も死ねず、重ねた罪を毎日感じながら生きていく。
そんな彼がいかに壮絶な環境のなかを生き抜き、今日ここで私と対峙しているのか。テヨンの苦しみはあまりに大きすぎて、私には想像がつかない。
今のように、もし
私が彼の心を少しでも安らかにできるのなら…
…私は、テヨンのためになれたらいいと、心の底から思う。
「…私が、前世…どんなふうにあなたと接していたかなんて、知らないけれど」
TY「…」
「私はあなたの優しさも、あなたの笑顔も、あなたが守るこの薔薇園も、ぜんぶが大好きだよ」
TY「…っ、」
「だから… …きっとテヨンは、どんな時代であろうと、私を必ず幸せにしてきてくれたんだと思う」
テヨンの手が震えている。
彼の黒曜石のような瞳から、すぐにでも涙が零れ落ちそうだ。
そんな彼を、私は思わず立ち上がって、抱きしめる。
悩む隙もなく、ただ自然に体が動いた。
…守りたい。テヨンのことを。
私はただ、そう思った。
「ありがとう…」
…そうか。
この一言を、私は彼にずっと伝えたかったのだろう。
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れいら(プロフ) - 閲覧頂きありがとうございます、本編では文字数オーバーなのでこちらから失礼します。公開が大変遅れてしまいましたが5章目が完成しました。次章で最終章になります。公開まで今しばらくお待ちください。 (2023年3月2日 11時) (
レス) id: 0149abc0ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2023年3月2日 11時
