流れ星 ページ12
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SC side
夢のような日々だった。
…今でも、夢だったんじゃないかと思う。
静かな森のなかにある、どこかがおかしいあの楽園。
今でも、ソウルの曇った空からちらりと覗く白い月を見ると思い出す。
“大丈夫”
“君には僕がいるから”
白銀の髪をした、彼のことを。
SC「はあ…」
どうも頭から焼き付いて離れない。
とっくに終わった夏休み、ソウルはもう秋の風。
それなのに僕は、あの夏の夜を忘れられない。
ジョンウヒョン。
結局、連絡先も聞けないまま、別れてしまって。
彼は暗い森のなか、ただひとりで僕を迎え、そして去る時もまた、ひとりで僕を見送った。
Aヌナの変わりようにショックを受けた僕は、そのぶんジョンウヒョンの優しさと、柔らかな声色と、独特のユーモアにかなり精神を救われたみたいだった。
『ソンチャナ、大丈夫？』
SC「…え？」
『顔色悪くない？』
SC「そう…かな？」
『夏休み終わってからずっと体調悪そうだよ』
隣の席のクラスメイトが怪訝そうな表情で僕を見る。
最近は学校に居ても、ずっとジョンウヒョンのことばかりを考えているからか、誰と話すときもから返事になってしまう。それどころか、自分では自覚していないけれど、みんなが言うに顔色が悪いだとか、瘦せただとか、そんなふうに言われる始末だ。
僕はあははと適当に笑い、その場をやり過ごす。
…毎日が退屈だ。
学校が終わり、一人でつく帰路。
Aヌナと二人で歩いた道も、今は恋しくもなんともなくて。変な刺激や新鮮味を求めて色々な場所に寄り道して帰っても、やっぱり楽しくなかった。
繁華街を学生服で、一人で歩いていると、かなり変な目で見られる。…こんな場所、寄るつもりじゃなかったのに。
僕は何をしているんだろう。
毎日心がからっぽ。空回りし続けている。
さっさといつもの駅から帰ろうと、ようやく思い立ったころにはもう、日が暮れていて。
雑踏のなか、ポケットに手を突っ込んで歩く。
交通カードを改札にかざして、足早に抜ける。
そんな何気ない日常の、一瞬。
僕の心臓が、大きく音を立てた。
『お客さん、切符は？カードは持ってますか？』
JW「えっと、き…キップ？」
SC「……へ？」
人間の世界ではあまりにも目立つ白銀の髪。
僕はすぐに、彼のもとへ駆け出していた。
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れいら(プロフ) - 閲覧頂きありがとうございます、本編では文字数オーバーなのでこちらから失礼します。公開が大変遅れてしまいましたが5章目が完成しました。次章で最終章になります。公開まで今しばらくお待ちください。 (2023年3月2日 11時) (
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作者名：れいら
| 作成日時：2023年3月2日 11時
