・ ページ29
.
SC side
SC「ここ、本当は夕方には到着している予定だったんです。でも、バスが迷ったり、携帯の電波が届かなくなってなかなか辿り着けなくて」
JW「あははっ、それは災難だったね。ここ、森の中でも深いところだから、携帯の電波は確かに受信されにくいんだよなあ」
SC「そうなんですか。正直、怖かったですよ。あんなに暗い山道を、道も分からずに進むなんて…お化けが出るかと思った」
JW「うわ、僕そういう話苦手だ…」
SC「あははっ、僕もですよ。…っていうか、その、ジョンウさん…」
JW「ジョンウヒョン！でしょ！」
SC「…ジョンウ、ヒョン…」
JW「ふふっ、なあに？ソンチャナ」
SC「あの…Aヌナ、もう眠っちゃってますよね」
JW「うーん、この時間だから…さすがにそうだろうね」
僕はジョンウさん、もといジョンウヒョンと、白い薔薇の園を歩く。彼についていけば、その第一寮とやらに行けそうだ。
その柔らかな話し声が僕の緊張をほぐしてくれる。
彼は不思議な魅力の持ち主だと思った。
だけどふとした疑問が心に浮かんだ。
彼という存在があまりにも滑らかに僕の心へ溶け込んできたせいで、忘れていた違和感に気付いたんだ。
SC「ジョンウヒョン」
JW「ん？」
SC「どうしてこんな真夜中に、ここで、僕のことを待ってくれていたんですか？」
JW「…」
もしかしたら、体調が悪くて動けないAヌナの代わりに、僕を迎えに来る役目を引き受けてくれていたのかな。だとしたら、こんな時間まで外で待たせてしまって、本当に申し訳ない。
だけどジョンウヒョンは少し黙り込んだ。
その沈黙に妙な緊張を覚え、僕は思わず彼を見つめる。
彼は立ち止まった。
今宵の月は、不気味なほどに大きく見える気がした。
JW「…君がここに来るのを、ずっと待っていたんだ」
SC「…え…？」
JW「出会いに感謝するよ。ようこそ、学園へ」
SC「…えっ…と……、」
JW「仲良くしようね。ソンチャナ」
風が吹く。
夏の夜にしては、震えるほどに冷たい風が。
視界の中、ぼんやりと佇むジョンウヒョンの姿が、さらにぼやける。
彼はまるで風の隙間を縫うように、僕のもとへとやってきて
…僕の頬を、そっと撫でた
…のは
僕が見た彼の幻、だったかも、しれない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1358人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れいら(プロフ) - らんさん» ありがとうございます！そう言って頂けて光栄です🥹次章公開いたしましたので、どうぞよろしくお願いします☺️ありがとうございます！ (2023年3月2日 11時) (
レス) id: 0149abc0ab (このIDを非表示/違反報告)
れいら(プロフ) - 水恋さん» お返事大変遅れてしまいました。ありがたいお言葉とってもうれしいです！次章も公開しましたので、お時間ある時にぜひお願いいたします🙌🏻 (2023年3月2日 11時) (レス) id: 0149abc0ab (このIDを非表示/違反報告)
らん - 今まで見た中で1番好きな小説です⸝⸝o̴̶̷̥᷅ ̫ o̴̶̷̥᷅⸝⸝続きがとても気になります( ´. ̫ .` ) (2023年2月9日 4時) (レス) id: dff2d40152 (このIDを非表示/違反報告)
水恋(プロフ) - この小説どタイプすぎて一気見しちゃいました、、もう1周してこようかな(´▽`) '` '` '` (2022年12月8日 18時) (レス) @page48 id: b9026dcaf5 (このIDを非表示/違反報告)
main - こちらこそ！いつも楽しませてもらってて感謝しかないです！♡ (2022年11月20日 9時) (レス) id: 7682808c62 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れいら
| 作成日時：2022年11月16日 1時
