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「…そりゃ、Aは、死を恐れるような性格ではないと思うけれど」
「…」
「俺は君を失うことが怖いよ」
私の胸の中に潜り込んでくるテヨン。
なぜかそんな彼の姿が赤子のように見え、母性にも似た暖かな思いがじんわりと湧き上がってくる。
彼の髪を撫でながら、私はきつくテヨンのことを抱きしめた。
触れ合う素肌に切なさを覚えるのは何故か。
私は、テヨンが泣きそうな声で言ったそんな言葉に
わざと微笑みを返した。
彼は私を見上げる。
その大きな瞳。
人間の瞳までを愛するだなんて、私には初めての経験だった。
「…たとえ私の身が滅びたとて」
「…」
「テヨンが私のことを忘れなければ、私は君の中で永久に生き続けるだろう」
「…え？」
「人が本当に死ぬ瞬間を知っているか？誰もに忘れ去られた、その瞬間だ」
「…」
私はテヨンの胸にもたれ、天井を見上げた。
彼の心臓の音をそばに感じる瞬間、心がほどけていく。
私は目を閉じる。
彼が生きるこの時代に、私の生を重ねられた奇跡を、ふとした瞬間に感謝するものだ。
テヨンの手を握ると、確かな愛を感じられる。
私はそっと微笑んだ。
「私が死んだら、薔薇でも育ててくれよ」
「…薔薇？…ああ、Aは…薔薇の花が好きだったね」
「そうだ。君の余生は薔薇園の管理人にでも費やせばいいさ。私のために、なんてね」
「ははっ…」
「…青色の薔薇でも見てみたいものだな」
「青色？」
「ああ。テヨンなら咲かせられるだろう。奇跡の薔薇を」
この世に存在しないとされる、青色の薔薇。
私が窓辺に飾っている赤い薔薇の花も好きだが、一度はお目にかかりたい。真っ青な海のような、青い薔薇の花に。
もし私がこの世からいなくなったあと、彼が私を記憶し続けながら薔薇を育ててくれたら、嬉しい。そんな、ほんの思いつきを口にしただけだった。
だけど、少し黙った彼は、やがて微笑んだ。
そして私の肩を抱き寄せると、耳に小さな口づけを落として、囁いた。
「悪くないね」
「君を想いながら、薔薇を育てるのも」
…目の覚めるような
鮮やかな赤や
愛らしい桃色、日向のような黄色
可憐で清廉な白
海のような、青まで。
彼の育てた薔薇の花が咲き乱れる
そんな、楽園のような場所を
私はいつか、この灰色の瞳で見ることになるのだろうか。
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れいら(プロフ) - らんさん» ありがとうございます！そう言って頂けて光栄です🥹次章公開いたしましたので、どうぞよろしくお願いします☺️ありがとうございます！ (2023年3月2日 11時) (
レス) id: 0149abc0ab (このIDを非表示/違反報告)
れいら(プロフ) - 水恋さん» お返事大変遅れてしまいました。ありがたいお言葉とってもうれしいです！次章も公開しましたので、お時間ある時にぜひお願いいたします🙌🏻 (2023年3月2日 11時) (レス) id: 0149abc0ab (このIDを非表示/違反報告)
らん - 今まで見た中で1番好きな小説です⸝⸝o̴̶̷̥᷅ ̫ o̴̶̷̥᷅⸝⸝続きがとても気になります( ´. ̫ .` ) (2023年2月9日 4時) (レス) id: dff2d40152 (このIDを非表示/違反報告)
水恋(プロフ) - この小説どタイプすぎて一気見しちゃいました、、もう1周してこようかな(´▽`) '` '` '` (2022年12月8日 18時) (レス) @page48 id: b9026dcaf5 (このIDを非表示/違反報告)
main - こちらこそ！いつも楽しませてもらってて感謝しかないです！♡ (2022年11月20日 9時) (レス) id: 7682808c62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2022年11月16日 1時
