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「ところで」
TY「…」
「それ…すごく綺麗な色だね」
テヨンが籠に上げた薔薇の花。
それは真っ青な花弁をつけていた。
青い薔薇なんて見たことが無い。私が興味深く、それをじっくりと眺めた。
テヨンはまたくすりと微笑む。
私を見守り、包み込むようなテヨンの優しい笑顔が、私は大好きだった。
“青いバラは初めて？”
「うん、もちろん。青って、自然には存在しない色だって聞いたことがある」
“これは、ムッシュ・リュミエールが作った特別な品種なんだ”
「ムッシュ…？」
“咲かせるのは大変だけどね”
ムッシュ・リュミエール。
どこかで聞いたことのある名前だった。
だけど、思い出せない。
テヨンは穏やかな笑みを浮かべたまま、その籠を持って席を立つ。奥の物置から何かを取り出し、別のテーブルで作業を始めた。
私は携帯で青い薔薇について検索する。
すぐに写真は出てきたけど、どれも合成のようだった。目の覚めるような青色はとても人工的。
だけどさっきテヨンが摘んだ青い薔薇は、妙な暖かさと優しさを湛えていた。それもさながら、テヨンの微笑みのように。
「“青いバラは、奇跡の象徴です”…」
幾度も交配と実験が繰り返され、様々な研究者の積年の努力の果てに、ようやく咲いた。そんな青い薔薇は奇跡の象徴、か。
私は微笑み、携帯を置くと顔を上げた。
すると、ふわりと薔薇の香りが鼻孔に迫る。
そして目の前に広がるのは、海のような青。
テヨンは、私に青い薔薇の花束を差し出していた。
柔らかな花の香りを纏う風。
いつの間にか傾いていた太陽の、穏やかな陽射し。
世界でここだけ、時間が止まっているみたいだった。
花の隙間に、小さなメッセージカードが挟まれている。
“Aへ”
…そしてまた、彼は微笑む。
その、ほのかな桃色。
彼の頬に浮かぶ、幸せの色。
テヨンの笑顔は、いつだって私を抱きしめるように、包んでくれる。
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スジン(プロフ) - ありがとうございます！！ (2022年7月30日 0時) (
レス) @page50 id: d2feff5954 (このIDを非表示/違反報告)
れいら(プロフ) - スジンさん» コメントありがとうございます🥹とても嬉しいです…！第３章は既に公開しているのですが、R/18フラグが立っているので、ログイン後設定を解除して頂いてからもう一度試して頂けませんか？よろしくお願いします🙇🏻♀️ (2022年7月29日 8時) (レス) id: 0149abc0ab (このIDを非表示/違反報告)
スジン(プロフ) - いつも楽しく読んでいます！！お話の内容がよく考えられていてとっても面白いです🥰🥰質問なんですが、第3弾は更新されていますか？？私のアプリだとエラーで見れないのですが、、、 (2022年7月28日 23時) (レス) @page50 id: d2feff5954 (このIDを非表示/違反報告)
れいら(プロフ) - <3さん» お返事遅くなりました💦ありがとうございます！！そうなんです、、伏線全部回収する！と思います！！笑笑 かなり長期連載になりそうですが、ぜひ楽しんで頂けるよう頑張りますので、今後とも宜しくお願いします🙇🏻♀️❤️ (2022年7月19日 21時) (レス) id: 0149abc0ab (このIDを非表示/違反報告)
れいら(プロフ) - ミアさん» お返事遅くなりました（ ; ; ）ありがとうございます…！とてもとても嬉しいです😭😭これから伏線回収してもっと面白くなっていくはず…！ですので、これからもご愛読頂けると嬉しいです🥰本当にありがとうございます！！ (2022年7月19日 21時) (レス) id: 0149abc0ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2022年7月5日 16時
