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TY side
“テヨンイがいたら、それだけでいいや”
“どこ、行っちゃうの。……やだ、行かないで…”
“…テヨンイがいなくなっちゃうのが、悲しいの…”
“…また、少しすれば…会えるかな…。……会える、よね…？”
涙をこらえながら、そう泣いた。
心が、泣いていた。
Aの手を握りながら、見つめていたんだ。
その穢れを知らない、美しい水晶たちを。
“Aはボクの大切なお客さんだよ。いつも大金くれるから、お返しにいつもセック スしてるの”
不意に思い出したのは、そんな言葉だった。
印象的な猫目の、いつかの彼が言っていたこと。
他にも、だ。
自分は高校を退学して、法律違反だけど風俗嬢を始めたこと。仕事以外にも、金や身体と引き換えに情報を集めるため、無数の男性と関係を持っていること。
寂しい時は誰でもいい、ってこと。
目的があれば、誰でも利用するし、蹴落とすし、躊躇いなく自分の体を汚すこと。
そんな彼女が俺に出会ってから、俺にくれたもの。
それは、幸せだけだった。
ありふれた日常に散りばめられていそうな、
豪華でも、大層でも、高値でもない
だけど、俺が長らく失っていた、普遍的な幸せ。
笑顔になってくれると、嬉しい。
顔を合わせて会えると、嬉しい。
手を握ると、気恥ずかしいけど、嬉しい。
隣にいると、安心する。
彼女はまっさらだった。
純白だった。
彼女が卑下するほど、汚れてなんかいない
その心は少し臆病で、ちょっと勝ち気で、無邪気で。
少女のまま時を止めた微笑みが、俺の胸を揺さぶる。
俺を変えていく。
その、清らかな手のひらで。
TY「……誰かが好きとか、恋人とか、俺はよく分からないけれど… …俺だって、出来ることならAと、…離れたくない、し…」
「…」
TY「…さっきも思った。俺は別に死んでもいいけど、Aを絶対に守ってから死んでやる、って。Aは…俺自身より、ずっと大切な存在だ、って…」
ぎゅっと、また強く彼女の手を握ってしまう。
…もう離したくないんだ。
何度そう、願ったことか。
俺は目を伏せる。
この想いが、伝わればいい。
ようやく名前を知った、この感情。
俺はAを見上げた。
…ああ、
何にも代えがたいほど、愛しい。
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れいら(プロフ) - さとみさん» 大変お待たせ致しました。次章をアップ致しましたので、ぜひお読み頂ければ幸いです！ (2021年10月14日 18時) (
レス) id: c38a85a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
さとみ(プロフ) - 続き楽しみです！ (2021年10月6日 2時) (レス) @page50 id: 3be0ba2d24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2021年9月21日 19時
