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「…テヨンア、」
TY「うん…？」
「変なこと言うから、聞き流していいよ」
TY「…」
深呼吸して、涙を拭いて。
こんなに簡単に涙を見せるような女になんか、成り下がりたくなかったのにね。
…泣くのはウィンウィンオッパの前でだけ、って
高校に行くのが辛かった時も、体売り始めて辛かった時も、決めたのにね。
私は微笑んで、それでも最後のあがきみたく、
見た目だけは綺麗になったテヨンの右手を、両手で包み込んだ。
「…テヨンイがいなくなっちゃうのが、悲しいの。自分のことなんてどうでもいいから、テヨンイのそばに居たいって、考えてるくらいに。…おかしいでしょ、私たち好き同士でも、恋人でもないのに…」
TY「…好き……？」
「…ごめんね。テヨンイの言う通り、テヨンイはここを離れた方がいいよね。……また、少しすれば…会えるかな…」
会えるよね、と
彼に確かめたがる私の声は、無機質なコンクリートの床に吸い込まれていく。
テヨンは私たちの手に目線を落としたまま、顔を上げない。
彼と見つめ合って、きつく手を握って。
銃弾の雨を避けながら店から飛び出した時、体なんて一度も重ねていないのに、私とテヨンは誰より深く繋がっていたような気がした。
テヨンと過ごす一秒一秒が、眩しくて、暖かくて
飾ることない、まっさらな私でいられる気がする。
私の半分みたいな、テヨンだ。
そこにいなくちゃ、違和感しか無いの。
自分の体が半分無いのと、一緒だから。
TY「……そっか…」
私がテヨンの手を離そうとした時、
彼はぽつりとそう呟いた。
私を見上げた、美しいその顔は
…優しく、微笑んでいる。
離れかけた私の手を、今度は彼が包み込む。
絡めた指が、溶け合っていくみたい。
暖かくて、心地よくて、ほっとする。
TY「…不思議だったんだ、ずっと。出会った時から、Aの言うことも、やることも、…何もかも、特別に感じてた」
「…」
TY「自分じゃよく分からなかった。Aのことを想うと…ただ、幸せだった。……この仕事から足洗って、普通に生きて、Aともっと堂々と会って…そばにいられたなら、どれだけ幸せだったかなって、何度も思ったよ」
テヨンは微笑み、少し恥ずかしそうにしながらも、そう口にする。
私よりずっと大きな手が、ずっと私に触れている。
彼の真心がじかに伝わるこの瞬間が、永遠に終わらなければいい。
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れいら(プロフ) - さとみさん» 大変お待たせ致しました。次章をアップ致しましたので、ぜひお読み頂ければ幸いです！ (2021年10月14日 18時) (
レス) id: c38a85a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
さとみ(プロフ) - 続き楽しみです！ (2021年10月6日 2時) (レス) @page50 id: 3be0ba2d24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2021年9月21日 19時
