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さりげなく遠くの席に目をやる。
同僚だろうか、数名の男性と共に席に着いたテヨンは、パーカのフードを被り顔を伏せている。
一人だけ明らかに異質なオーラを放ち、女性とは少しも話そうとせず、静かにグラスを仰ぐ姿にこの場を楽しんでいる様子は微塵も無かった。
男性の相手をしながらも、テヨンの座る席を何度もちらちらと窺ってしまう。
こちらに居るお客様はみんな立派に仕立てられたスーツに身を包んでいるけれど、向こうに座る男性たちは粗野な雰囲気。
テヨンはこの組織の下っ端として、手を汚す仕事をしているの？
でも以前、「今はどの組織にも属していない」と言っていた。
不意に、彼がこちらへ振り向く。
…目と目が合うと、いつも時が止まりそうになるの。
その瞬間が切なくて、それなのにほっとする。
テヨンは遠くから私を見つめながら、静かに微笑んだ。
胸がとくん、と高鳴る。
そして、何かを呟いていたようだった。
口の形に目を凝らす。
…また、
“またあとで”。
テヨンはそっと頷き、視線をテーブルへと戻した。
私は思わず胸に手を当てる。
なんでこんなに、暖かいのかな。
…嬉しい、のかな。
またあとで。
たったその一言が、温度と香りを増していく。
あとで話したいと、彼がそう感じてくれている。
そう思い返すと空っぽの心が急速に埋まっていくようだった。
私以外の人と居る時の彼を初めて見たけれど、
張りつめた眼差し、漆黒に染まったやけに大きな瞳。
周りを全て拒絶するような彼の雰囲気に、
誰もが彼を遠ざけて 見て見ぬふりをしているのに
私を見つめて微笑んだ彼は、やっぱり愛らしくて、少しはにかんでいて
…Aみたいに不思議な人いないよ、なんて
あなたは私によく言うけれど
それは私だって同じだ。
テヨン、
どうして私はあなたに会えば会うほど、惹かれていくのだろう。
その孤独が、なぜか愛おしい。
男性としての色気とか、魅力とか
そういう肉体的なことで、彼を欲してるんじゃない。
もっとまっさらで、不安定で
正直で 優しくて 本能的な
彼のそばにいたい、なんて そんな温もりを求めるような…
愛情、と 呼んでいいの？
…分からない。
だけど暖かく、柔らかな、まるで命が芽吹くような感情。
テヨンを見つめ、彼を想うだけで、不思議と彼へ惹かれていくんだ。
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れいら(プロフ) - さとみさん» 大変お待たせ致しました。次章をアップ致しましたので、ぜひお読み頂ければ幸いです！ (2021年10月14日 18時) (
レス) id: c38a85a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
さとみ(プロフ) - 続き楽しみです！ (2021年10月6日 2時) (レス) @page50 id: 3be0ba2d24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2021年9月21日 19時
