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TY「……変なひとだよ、ほんとに」
「…えぇ？」
TY「ふふっ。こんな俺に構おうとするなんて、ほんと怖いもの知らずで、世間知らずで、」
「うんうん」
TY「…おかしいでしょ。普通に考えれば」
「ふふっ、そうだね。おかしいね、私たち二人とも」
とてもウォールアートとは呼べないような落書きが無数にされたビルの壁に、テヨンがよりかかる。
何も言わずに私を見つめるから、…君も来れば、なんて言いたいのだろう。
二人、ひんやりとしたコンクリートを背に肩を並べる。
まるで私たち、捨て犬みたいだった。
誰の目にもつかない場所で、そっと寄り添ってる。
TY「…ありえないよ。俺のことを“人”だと思って、向き合って、認めて、接しようとするなんて。…そんな人、本当にAしかいない」
「…本当に？これまで、たった一人も？」
TY「そうだよ」
「こんなに優しいのに」
TY「……あー、もう…」
手のひらを顔に当て、参ったように俯くテヨン。くすくす笑っている私を見上げる目は、いじらしくて澄みきっていた。
私、いまどんな顔して笑ってるかな。
きっと、綺麗な笑顔なんだろうな。
TY「………かった」
「…え？」
常にぼそぼそ話すのに、もっと小さな声で彼は何かを口にした。
私が訊き返すと、彼はだんまりを決め込んで
だけど彼の特徴的な尖った耳は、彼の中で枯れていた命の息吹を再び感じさせるように、赤らんでいて
無邪気な子供が、まるで照れを隠すように
TY「…会いたかった……」
そう微笑んだ彼の姿は、
何にも代え難い刹那の輝きを放っていた。
TY「…こんなこと許されないのに何言ってるんだろうな、俺」
「…テヨンア」
TY「…A。早く、ここ離れて。俺と一緒に居るところを誰かに見られたらまずい」
やるせない微笑みを見せながら、テヨンは私に目で「どこかへ行け」と促す。
色褪せた金色の髪、やけに白いその肌。
夜風が強く吹けば、彼はどこかに連れ去られてしまいそうに見えた。
おかしいな。
彼の言う通り、もし私が彼と親しくしているところを誰かに見られようものなら
私の私生活だって脅かされるかもしれないのに
…それでも、テヨンのそばにいたかった。
「テヨンア、私…」
彼が振り向く。
月が雲に隠れる。
瞬間、訪れた暗闇の中で
…不意に、月より輝くダイヤモンドが煌めいた。
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れいら(プロフ) - さとみさん» 大変お待たせ致しました。次章をアップ致しましたので、ぜひお読み頂ければ幸いです！ (2021年10月14日 18時) (
レス) id: c38a85a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
さとみ(プロフ) - 続き楽しみです！ (2021年10月6日 2時) (レス) @page50 id: 3be0ba2d24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2021年9月21日 19時
