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ずっと、ウィンウィンオッパのことを考えていた。
優しい笑顔も、少し不器用な仕草も、
照れ屋な性格や真心のこもった言葉だって
すべて手に取るように憶えているのに
人間は、誰かを失った時
その人の声から忘れていくらしい。
…見かけによらず低いオッパの声は
思い返すたびに、それは記憶の中から形を変えていくような気がして
そうしている間に、私の中のオッパも いつか消えてしまいそうで
テイルさんの占いなんて信じない
そう言い切って来たのに不甲斐ないけれど、
あの占いの結果をずっと考えていた。
もしも、また会えるなら。
何かの奇跡で、私の目の前に現れてくれたら。
…だから、テンのことなんて、これっぽっちも考えられなかった。
彼はいたくそれが気に入らなかったようで、私を責め立てる彼の口調に私も何故かむきになってしまった。
だって彼は私の何も知らないくせに、どうしてか彼の中に激しく燃え上がる私への独占欲をちらつかせる。
彼の周りには他にも、いくらだって、
彼に好意を寄せる美しい人間がいるはずだ。
何故私にそんな態度を取るのだろう。
どうして私にこだわって、そんなことを言うのだろうか。
異常な執着心とも取れる彼の変化に、
それこそが“テン”という華美な仮面の中に押し込めた、彼の素顔なんじゃないか、なんて
こんな私でもはっきりと分かるほど愛情に飢えた彼の顔を、改めて見上げたとき
その、一瞬
流れる人混みの中に
ありえない人を見つけたような気がして
心臓がまた、どくんと跳ねた。
あの日以来止まっていた時間が、また動き始めたような気がした。
「テヨンア……」
無意識で口ずさんでいた、その名前。
無意識で駆け出した足は、人波に揉まれビルの影へ消えていった彼へと急ぐ。
テンをその場に、置き去りにしたまま。
路地に入り、一気に真っ暗になった視界。
だけどその香りに導かれるように、行き先を知っているかのように、真っ直ぐと歩みは進む。
…あれほど惚れ、浮かれ、溺れていたテンの存在を一瞬にして忘れ去ってしまうくらいに
どうしようもなく、導かれるんだ。
惹かれるんだ。
彼が持つ独特な鉄の香りに。
きっと、血の香りに。
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れいら(プロフ) - さとみさん» 大変お待たせ致しました。次章をアップ致しましたので、ぜひお読み頂ければ幸いです！ (2021年10月14日 18時) (
レス) id: c38a85a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
さとみ(プロフ) - 続き楽しみです！ (2021年10月6日 2時) (レス) @page50 id: 3be0ba2d24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2021年9月21日 19時
