・ ページ21
.
KN「…どうしたの。いつにも増して甘えん坊だね」
「…なんでもないよ」
KN「…A」
「うん？」
KN「少し…いいかな」
そっと私を見つめた眼差し。
彼が何を求めているのかは一目瞭然。
…それに、私もそれを欲していた。
心を許していない男に抱かれれば抱かれるほど、彼に触れたくなる。
何も言わず、彼に唇を寄せる。
クンさんは手探りでリモコンを掴み、部屋の電気を落とした。
私はしゅるしゅると彼のネクタイを解いて、彼の体に手を滑らせる。
舌が絡み合う水音が響く。
身も心も気持ちよくてたまらない。
真っ暗な部屋に射し込むのは、ネオン街の卑しい光だけ。
彼はキスをしながら立ち上がると、窓に私の背中を押しつけてスカートの中に手を入れた。
KN「…もう熱くなってる」
「んっ……やだ、もっとちゃんと…触って…？」
KN「ふふ、どうしようかな」
「おねがい…… …きゃっ、！」
耳元で、いつもより低い声で囁かれる。
柔和な笑顔を浮かべたまま、その指で私を追い詰めていく。
誰が目にしてるかも分からないのに、
私は震える手でフレームにしがみついて、
素肌を窓に晒しながら 彼に腰を突き出す。
温厚な彼が男としての本性を見せる時間は、なんとも野生的で背徳感がある。
KN「…顔上げてよ、A」
「んっ… あ、」
KN「僕たちこんなことしてるね、…よく見えるね」
「あっ！…いや、ん、…ああ……っ、！」
KN「…もっと激しくするよ、」
「んぁっ！」
窓に映る私は、汗に濡れながら
誰に迫られてるわけでもないのに、必死な顔して
だけどクンさんは
彼自身を私の中に放ちながらも、どこか冷静で
…そんな大人っぽい彼が好きだ。
私の全てを預けてもいい。
彼の温もりに包まれて、安心していたい。
だんだん速まっていく律動で、全身に彼を感じる。
熱い衝動に鳴きながら、彼の手を握りしめる。
いつも柔らかなその声が、やがて苦しげに漏れ始める。
温かいものが中に吐き出されると、
そのとき 私はようやく満たされる。
この空っぽの心と、ただ魂の入れ物みたいな体は
常にどこか欠けていて 不完全で
どんな男でもいい、
私の体はどこかに穴が空いて欠けたままだから
それを埋め合わせてくれるのなら誰だっていい
誰かと混ざり合って、やっと完全になった私は
絶頂に体を反らせる瞬間が、一番美しい。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 960人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らーみょん - ログインしないでも見れるってありますか？ (2021年9月20日 23時) (
レス) id: bc990f52e8 (このIDを非表示/違反報告)
れいら(プロフ) - WayV沼子さん» コメントありがとうございます！他の作品も読んで頂いてるんですね…!!かなり毛色の違う作品ですがどちらも応援してくださって大号泣です（ ; ; ）ありがとうございます!! ルーカスはかなり主軸の登場人物となるので、今後もご期待ください(^^)♡ (2021年9月20日 19時) (レス) id: c38a85a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
WayV沼子 - 表現力、設定、どれも素敵な小説だと思っていたら、大好きな作者さんだったなんて…！感激です。これからも応援しています。大好きなルーカス出してくださりありがとうございます(涙) (2021年9月18日 1時) (レス) id: 2887d301bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れいら
| 作成日時：2021年9月14日 23時
