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TY side
「テヨンイの職業も気にしない。ただ協力してほしい。命以外はなんでもあげるから」
TY「…」
そう、堂々と告げるA。
…俺は思わず笑ってしまった。
彼女の言葉に嘘は無い。
俺はすぐ分かったし、
そんな彼女が俺に向ける眼差しが、
…どこか嬉しかったんだ。
俺を俺として見てくれる、
俺と同じような哀しさを抱えた人間。
だってこの心が、うるさいほどに叫んでいる。
彼女を知りたい。
…彼女に、知られたい。
俺に捨てるものはこれ以上何も無い。
いつ死んでもいい。
そう思いながら屍のように生きてきたけど、
彼女が言う“協力”に、ほんの少しだけ興味が湧いたのは
生きる気力が、何年かぶりに湧いたのと同じことだった。
TY「目的のためには手段を選ばない、か」
「うん。そのためにこの仕事してるようなものだし」
TY「…取引の相手が、殺し屋でも？」
「…なんだかテヨンイはそんな感じがしないの」
TY「はは…何、それ」
「だって平気で人殺しを楽しむような人は、そんなに寂しい目をしない」
TY「……」
「…あなたは汚れてないよ」
そう言って、俺を見上げる。
孤独なのに、強くて
凛としてるのに、脆い
そんな彼女の瞳は
…美しくて、愛おしかった。
俺の季節に色が付く。
風が肌寒いと、十数年ぶりに感じた。
TY「…いいよ」
「…！」
TY「そこまで、言うなら。協力してほしいことがあったら連絡して。…仕事が無い時は、いつでもどこでも動ける」
「……ありがとう…！」
…こんなにきらきらした、純な瞳で見上げられたこと あったっけ。
まるで俺をヒーローのように見上げている。
本当は両手に無数の人の血がべっとり染み込んだ男なのに。
…どうしてそんな目で、俺を見るんだよ。
また、何かが俺の中で動き出す。
ずっと死んだように、俺の望みなんてまるで無視しながらただ勝手に動いていた俺の心臓が、
まるで息を吹き返したようにどくどく脈打つ。
感じるんだ。
俺の命の鼓動。
喉が渇く。
…俺、生きているんだ。
なんて。
歪で残酷な世界で出会った彼女は、
俺には希望のように見えた。
…彼女の全てが、奇跡のように思えたんだ。
忘れもしない。
夏の終わり、
染み込んだ煙草の香りと、雑踏の喧騒。
俺なんかに見せるべきじゃなかった、
その屈託のない笑顔は
今でも俺の心のなかに、焼き付いてる。
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らーみょん - ログインしないでも見れるってありますか？ (2021年9月20日 23時) (
レス) id: bc990f52e8 (このIDを非表示/違反報告)
れいら(プロフ) - WayV沼子さん» コメントありがとうございます！他の作品も読んで頂いてるんですね…!!かなり毛色の違う作品ですがどちらも応援してくださって大号泣です（ ; ; ）ありがとうございます!! ルーカスはかなり主軸の登場人物となるので、今後もご期待ください(^^)♡ (2021年9月20日 19時) (レス) id: c38a85a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
WayV沼子 - 表現力、設定、どれも素敵な小説だと思っていたら、大好きな作者さんだったなんて…！感激です。これからも応援しています。大好きなルーカス出してくださりありがとうございます(涙) (2021年9月18日 1時) (レス) id: 2887d301bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2021年9月14日 23時
