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MK「何も出来ないなんて、辛いんだよ…」
「…そんな感情を抱いてくれるだけでいいの。情報収集に協力してくれる人は沢山いるから、マークは私の心を支えてほしい。それだけで百人力だよ」
MK「…」
「私はマークを危険な目に遭わせたくない」
さっきよりも強い眼差しで訴える。
…私を想うのなら、どうか“こちら側”に来ないで。
それが私の望み。
マークは私を静かに見つめ、やがて嘆息した。
強張らせていた表情を、諦めたかのように解く。
MK「…そこまで言うなら、分かったけど。本当に危ない時は、マジで助け求めてよ。絶対俺が助けるから。だから…」
「ふふっ、ありがとう。マークがいてくれるから私、頑張り続けられる」
そう、気休めとも慰めとも受け止められかねない本音を言うと、
彼の耳は少し赤くなって ふいと視線を逸らされる。
…何年経っても素直で、うぶで。
いい意味で大人に染まらない彼の仕草に、私は笑みをこぼした。
マークに身を寄せれば、そっぽを向きながらも抱きしめてくれる。
そっと目を閉じるこの瞬間、私はようやく娼婦ではなく一人のAとして生き返ったような気がするんだ。
…だけどもう、行かなくちゃ。
「…それじゃあ、行くね。今日はどうもありがとう」
MK「今日は誰と？」
「チソンア」
MK「はぁ…」
「ねえ、絶対嫉妬でしょ」
MK「…そうだよ。Aが不特定多数の男の相手してるなんて凄い嫌だ」
わざと悪戯っぽく微笑みかける。
しょうがないって分かってるんだけどな、と乾いた笑いをこぼすマークは、決して私の客になろうとしない。
彼と私が引いている一線は、どこか尊さすらあるようなものだ。
こんな店に来て女の子と遊ばずに帰るなんてありえないけど、マークは本当に私の様子を見に来ただけらしい。
エレベーターまで彼を見送る。
扉が閉じた後も、パネルの数字が下がっていくのをただ見届けていた。
現実の世界へマークは帰っていく。
…彼と私は、生きる世界が違うんじゃないか。
受け入れたくない現実。
だけどきっと本当のこと。
いつかは共に肩を並べ、無邪気に笑っていたはずなのに。
私の体ばかりが、どんどん汚れていくよ。
一抹の悲しさを胸に仕舞い込み、フロアに戻る。
私を待ち受けていた様子のチソンは、私を見ると人懐こい笑みを見せた。
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らーみょん - ログインしないでも見れるってありますか？ (2021年9月20日 23時) (
レス) id: bc990f52e8 (このIDを非表示/違反報告)
れいら(プロフ) - WayV沼子さん» コメントありがとうございます！他の作品も読んで頂いてるんですね…!!かなり毛色の違う作品ですがどちらも応援してくださって大号泣です（ ; ; ）ありがとうございます!! ルーカスはかなり主軸の登場人物となるので、今後もご期待ください(^^)♡ (2021年9月20日 19時) (レス) id: c38a85a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
WayV沼子 - 表現力、設定、どれも素敵な小説だと思っていたら、大好きな作者さんだったなんて…！感激です。これからも応援しています。大好きなルーカス出してくださりありがとうございます(涙) (2021年9月18日 1時) (レス) id: 2887d301bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2021年9月14日 23時
