・ ページ44
.
TM『…びっくりしたよ。世の中には色んなSM関係者が、…そう名乗れば何を言ってもいいと思う人がいるんだと思ったけど、それでも少し気になる。…A、この話は本当なの？』
画面をテミンちゃんとの通話画面に戻す。
いつになく真摯な眼差しで、私を見つめてる。
私は深く息を吐いて、…なんだか真っ直ぐ彼を見つめることに勇気が要るけれど、心を決めて彼のことを見つめた。
…誰にもこのこと、言ってなかったのに。
「…本当、だよ。来年の春にソロデビューする準備が進んでる。チームももう立ち上がってる」
TM『…！……メンバーは、そのこと…？』
「噂で知ってる人もいるかもしれない。私の口から話したことは一度も無い」
TM『…あの、ロードマップは？あんなの、…デタラメだよね…？』
「……」
ふと、一瞬で心に思い浮かんだのは、
デビューする前にプロデューサーに呼び出されて、一人で向かった応接室の景色。
そしてさっき目にした、ロードマップ。
“2016年初期：NCT最初のユニットデビュー”
“2016年初夏：NCT SEOUL(仮) デビュー”
“2018年冬：A、ウィンウィンをSEOULユニットから放出”
“2019年春：A ソロデビュー”
…懐かしいな。
あの時から、ずいぶん時間が経ったような気がする。
「…本当だよ」
TM『っ……』
「ははっ… …どこのスタッフが持ち出したんだろ、あんな重要な書類。大変だ…」
TM『A、』
力無く笑ったって、無駄。
気休めの笑顔なんて、余計疲れるだけだ。
顔を上げれば、テミンちゃんは必死な顔で、…他人事のくせに涙を堪えるような顔で、私に訴えかける。
TM『イリチルからいなくなるなんて、…ソロデビューは本当でも、その話は噓だろ…！？』
「……、」
TM『…なんでそんな顔、するの…』
「…それが嫌だから、ずっと断ってきたの。誰にも、黙ってきたの。テミンちゃんにも、…」
TM『A…』
「……でも、タイムリミットだって。…会社の人にあんなに強く言われたら、仕方ないよ…」
ここで、私も限界だった。
必死に耐えていたはずの涙が、ぽたりと落ちる。
画面越しのテミンちゃんの表情がぼやけるのは、電波が悪くなったからじゃない。
涙を拭って、嗚咽を抑える。
TM『…A。ゆっくりでいいよ、…全部僕に、話してみて』
彼の落ち着いた声色だけが、唯一の救いだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1341人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NCT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れいら(プロフ) - りさこさん» 動き出しました…！！果たして20までにクライマックスに辿り着けるか怪しいところではありますが😂最後までドキドキしながら見て頂けるよう頑張りたいと思います！コメントありがとうございます！！ (2021年9月30日 19時) (
レス) id: c38a85a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
りさこ(プロフ) - 少しずつ動き出しましたね…！これからクライマックスがどうなっていくか楽しみです！最後はみんなが笑っていますように！！テオちゃんが脱退する未来なんて見たくないです😭 (2021年9月29日 1時) (レス) id: ee497d0949 (このIDを非表示/違反報告)
れいら(プロフ) - ひかるんさん» 本当でした！😱ご指摘ありがとうございます！🙇🏻♀️ (2021年9月25日 2時) (レス) id: c38a85a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
ひかるん(プロフ) - ソンチャンとショウタロウの絵文字逆になってますよ〜 (2021年9月25日 2時) (レス) id: b91485c027 (このIDを非表示/違反報告)
れいら(プロフ) - りさこさん» コメントありがとうございます！本当は実際にいるメンバー分だけにしようと思ってたんですけど、我慢できず入れちゃいました😂そんな風に仰って頂けて作者としてはとても嬉しいです…！これからもイジられていく予定なので宜しくお願いします！笑 (2021年9月23日 3時) (レス) id: c38a85a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れいら
| 作成日時：2021年9月23日 1時
