Crossed Destiny (ページ7)

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「あれ、シギョンは…？」

JH「ウィンウィンとアフターかな」

「あ、あふ…？」

JH「ふふっ、二人で別の店に行ったんだよ」

「へえ、そんなことも出来るんだ…」

結局1時間半くらい飲んだところで、酔いが回ったから荷物を持って外に出ていると、ジェヒョンさんが私を追って店先に出てきた。
慣れない空間で慣れない飲み方をしたから、ちょっと気持ち悪い。

あのあと他のホストが卓についても、ジェヒョンさんはちょくちょく私の様子を見に来てくれた。友達曰く、“ありえないくらいの好待遇”で“Aは絶対オキニ”。

…こうして、ホスト初心者をどんどん堕としていくんだろうな。
本当にジェヒョンさんにときめいちゃったから、呆れた。
シギョンもグルだったんだろうな、って今さら気付いたり。

汚いな、この街。
そんなふうに、ネオンがぼうっと照らす曇りの夜空を見上げて思った。

JH「Aちゃんはどうする？」

「え？」

JH「このまま帰る？」

「あ…はい、もちろん…」

JH「そっか。…あのさ」

俺はまだ店があるんだけど、と前置きした上で、
ジェヒョンさんは私の耳元にその唇を寄せてきた。

…彼の体温と、吐息を感じる。
身体が硬直して動けない。そのムスクに、また酔いが回ってしまいそうだ。

JH「また会いたいから、連絡先教えてよ」

…可愛いとか、きれいとか、魅力的とか
一緒に居られて嬉しいとか、君みたいなのは初めて、とか。

君のことが好きだ、なんて。

そんな言葉で私の心を躍らせるのは、お金のためで。
欲望が蠢く空間に、下品な感情だけが蜷局を巻いていた。

ジェヒョンさんはずるい。

どうしたって、その言葉が全て彼の本音に聞こえてしまうから。

自分が惨めになる。

愛されたことなんか、無いくせに。

期待した通りの言葉がジェヒョンさんから返ってくることに、いい気になってる。そんな私が汚い。

「…ごめんなさい、帰る」

JH「この街慣れてないでしょ、一人じゃ危ない」

…お会計、シギョンが持ってくれるって言ってたもんね。
私はジェヒョンさんの制止を聞かずに駆け出した。

彼が追ってくることは無かった。
まだ期待している自分に、うんざりした。

道を避けてくれない人、じろじろ見つめてくる男、誰かの泣き叫ぶ声。
こんな街の、世界の、どこがいいんだ。

…本当に、求められている気がしたの。

その思いが私をもっと、孤独にする。

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