Crossed Destiny (ページ45)

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「いつ退院出来そうなの？」

『もう明日、明後日には』

「…なんだ、じゃあお見舞い来なくて良かったじゃん」

『なんでだよ、寂しいこと言わないでよ』

くすりと微笑む彼女の姿。
真っ白な病室の中で、燦然と輝いて見える。

彼女は知らないんだ。どれだけ、その笑顔が美しいかを。

俺が伝える術もないけれど、伝えたところで彼女は鼻で笑うだろうけど。それでもその美しさを俺だけが知っているには勿体ないと思うくらいに、やっぱり綺麗だった。

数か月前、虎華に斬られた俺の腕。
一時はもう使い物にならないかと思ったが、院長先生のゴッドハンドでなんとか持ち直した。また戦いの場に出たら勝手が違うかもしれないが、俺は前線に戻りたい気持ちでいっぱいだった。

「病室で筋トレしてて怒られたんでしょ」

『え、そんな話どこで聞いた？』

「看護師さんが言ってた。“ジェノさん、どうやったら運動をやめてくれるんですかね”って」

『あははっ……参ったなぁ』

「…ほんとはこのまま、休んでいてほしいけれど」

『…え？』

「もう充分に戦ってくれたわよ。ぼろぼろになるまで…」

さっと彼女の表情が曇る。
前から勘づいてはいた。彼女は幾度も怪我をし、それでもなお敵に立ち向かう俺に、もう充分だと、休んでほしいと思っていることは。

いつもは冷徹な女総帥のふりして、本当は優しい彼女らしい。
彼女の暖かさに触れるたび、俺はなんだかくすぐったい気分だった。

俺は彼女を真っ直ぐに見つめる。

JN「…まだ終わってないでしょ。俺たちの戦いは」

「…」

JN「Aちゃんと同じ目的を達成するまで…俺はずっとあなたの隣に居るって、誓ったじゃん」

「でも、」

JN「俺は大丈夫。Aちゃんに心配されるほど、やわな男じゃない」

そう、少し挑発するような笑顔で言えば、彼女もいつもの調子で笑ってくれる。

手を差し伸べれば、頷いて、俺の手を握ってくれる。

ぎゅっと、その細い手を握るんだ。

…絶対に、離したくない。

いつもそんな気持ちで、彼女の隣に居る。

JN「見つかったんだろ、1000億の少女が。ジェミンが言ってた」

「…ええ」

JN「俺も必ず戻る。だから…」

…ここで全てを終わらせて、見つけに行く。

俺と彼女の自由を、幸せを。

Aちゃんは俺を見つめ、静かに頷いた。

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