Crossed Destiny (ページ42)

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MK side

二人で泣き笑いして、胸の奥がひりひりと痛かった。
だけどこんな雨の夜は、それで良かった。

Aと繋いだ手が暖かい。
それだけで、充分だった。

こんなにも苦しい現実の中で、Aの隣に居る瞬間だけは、胸を突き刺すような痛みを感じつつもどこか癒しを得られる気分だった。それは、彼女が俺に笑いかけてくれることが、俺にとって何よりの幸せだったから。

彼女にとってのそんな存在が、俺であってほしい。
…ちょっと高望みかもしれないが、だけど、心からそう思う。

Aと居ると、天国の海を漂っているような気分になれた。

だからこそ、“それ”に気付けなかった。

俺は心の底から、残酷な現実に目を瞑りたかったのだろう。

MK「うっ…！」

「きゃっ、何…！？」

突如として部屋を照らした、煌々とした明かり。
この深夜にあるまじき光量だ。思わず目を瞑る。

薄く目を開けると、どうやらカーテンを閉めていない窓の向こうからこの光が射している。

…まさか。

肝が冷えた瞬間、俺はAを抱きながら床に倒れ込んだ。

次の瞬間、爆音と共に窓ガラスが割れ、機関銃が何十発も撃ち込まれる。

「きゃああああっ！！！」

MK「Aっ…！」

決して広くない部屋で、彼女を抱え込みながら銃弾から逃れる。
畜生、こんな手を使ってくるなんて荒すぎやしないか。

それに、ここは彼女の部屋だ。

…また、彼女の平穏な日常が奪われてしまった。

『ったく、外れちまったよ～』

聞き覚えのあるその声に、窓の向こうを睨みつける。

どんな手段を用いようと、目的は必ず完遂する。
…悪名高いお前ららしいやり方だ。

ワイヤからぶら下がり、こちらを見つめている。

一、二…少なくとも五人は居る。このままではまずい、部屋の中で仕留められて終わりだ。

MK「A、走れる？」

「…うん！」

声を潜めて彼女に問いかければ、彼女は俺の腕の中で俺を見上げながら、どこか強さを感じさせる眼差しで頷いた。

…彼女のためなら、なんだって出来そうだ。
体の芯から力がみなぎる。

YY「この天才ヤンヤン様から逃げられると思うなよ、マーク！！」

MK「今だ！」

その瞬間、Aは駆け出す。
俺は彼女を庇いながら、背後を追った。

容赦なく撃ち込まれる銃弾にAは悲鳴をあげつつ、廊下まで一目散に駆けていく。

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