Crossed Destiny (ページ31)

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MK side

Aヌナと追っ手を振り払って事務所に到着したら、思ったよりも夜が更けていた。流石の俺でも疲れたけれど、隣のヌナは涼しい顔をしていて。つくづく、この人には敵うわけないと実感する。

廃ビル奥の倉庫、生体認証を抜けて地下室へ向かう。
…そろそろ、Aは目を覚ましただろうか。

ドヨンイヒョンたちが中華料理店に辿り着いた時、あのままAを現場に置き去りにしても、ドヨンイヒョンが保護してくれる算段だった。だけど俺はどうしても彼女を放っておくことが出来ずに、咄嗟の判断で気を失っている彼女を抱きかかえて逃げ出した。

逃走している間も、何度も何度も彼女の名前を呼んだ。
その白い肌から血の気が引いていく。そんな様子を見ていたら、俺の心までも生気を失っていくようだった。

中継地点でテイリヒョンにAを引き渡し、ヌナと追っ手を払っている間も、正直彼女のことで頭はいっぱいだった。彼女の無事を願わずにはいられなかった。…俺の覚悟が足りなかったから、今回こんな目に君を遭わせてしまったんだということも、謝りたかった。

だからこそ事務所に辿り着き、元気そうなAの表情を見た時、思わず心が震えたんだ。

数秒間無言で見つめ合う俺たちを、ヒョンたちはどう思ったろう。
…もっとも、そんなことなんてどうでも良かったんだけど。

MK「良かった…」

「…どうして、あなたも…」

MK「ああ…そっか、言ってなかった…」

階段を駆け下り、彼女のもとへ向かう。

あの晩、たった一度きり会っただけと言えばそうだ。
なのに、こうして再会できたこと。彼女をまたそばで、見つめられること。

…何か、俺の知らない感情が心から溢れ出しそうなくらいに、嬉しかった。

だけど、彼女の困惑した表情を見て思い出す。
まだ彼女は、自分が置かれている状況を何も知らない。

そしてきっと、これから知ることになる。自分の過去、自分が狙われている理由、自分が向き合わなくてはいけないことを。

何よりも、俺の正体を知ってもなお、彼女はあの晩のように俺へ微笑みかけてくれるのだろうか。

彼女の首筋に光るチェーン。

…宿命とは、過酷なものだ。

彼女の憂いを、もし俺が半分背負うことが出来るなら。

そうしたい、させてくれと、俺は進んで言うだろう。

MK「俺も…この組織の一員なんだ」

「…」

MK「…話さなくちゃな。俺たちのこと」

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