Crossed Destiny (ページ26)

今日:634 hit、昨日:782 hit、合計:150,920 hit

◇127 ページ26

.

“A！Aっ！！”

“目を覚ませ！！”

“A…！”

「っ……！」

…何度も何度も名前を呼ばれた気がして、目が覚めた。

視界に飛び込んできたのは、黒、紫、赤、黄色…。
サイケデリックで派手なインテリア、煙草の匂い、そして頭痛。
私は唸りながら頭を押さえた。…私、どうしてたんだっけ。

…そうだ、シャオジュンくんと食事をしていて…

……それから、どうなったの？

JO「お、気付いたか」

「…！」

JO「良かった良かった。おーい、A～」

…だれ、この人。
そして、どうして私の名前を…？

…いや、待って。彼は私の名前を呼びながらどこかへ向かった。

重い体を起こすと、そこに広がっていたのは全く見慣れない光景だった。

地下のクラブのように黒塗りの天井と床。だけど家具は赤や紫などの強烈な色で統一されている。
壁には個人のコレクションのような、古い西洋の煙草や酒の広告。ガラクタのような車の模型のコレクションや、マーベルみたいなヒーローのフィギュアが散乱してる。
かと思えば綺麗に手入れされた水槽があったり、何やら大きなコンピューターがあったり。壁際にはスロットマシーンやダーツ。ビリヤード台は正しい使い方をされてないようで、リキュールやグラス、おつまみが散乱していた。

私が横になっていたのは革のソファーだった。
この部屋にそぐわない幼児向けアニメのキャラクターが描かれたブランケットをかけられていたみたい。

よろめきながらも立ち上がる。
人がいるのはもっと向こうらしい。
物が散乱しているから分かりにくいけど、意外とこの部屋は広いようだ。

ビリヤード台の向こうにはバーカウンターのような広々としたスペースがあって、そこには何人かが腰を掛けていた。…この人たちは、一体何者なのか。

恐る恐る様子を窺っていると、そのうちの一人が勢いよく立ち上がって振り向く。

HC「A！！」

「へっ…ヘチャナ！？あ、ああ、あんたなんで…！？」

HC「良かった、無事か…！」

「ぎゃっ！」

感動した様子のヘチャンが思いきり抱きついてきたから、反射的に肩を押してしまった。危うく尻もちをつきかけたヘチャンに、見知らぬ男性たちはどっと笑う。

…うそ、なんで。こんなところにどうしてあんたが。
ひたすらに困惑する中でも、ヘチャンは安堵しきった様子で涙を拭っていた。

.