Crossed Destiny (ページ24)

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XJ side

“少女を確保。只今より事務所に連行する”

目の前に突っ伏す1000億の少女を見つめながら、チャットに連絡を送る。一人じゃなんにも出来ない非力で単純な少女だ、こうも簡単に身柄を拘束出来るとは。

俺は微笑み、席を立つ。彼女の腕を俺の肩に回し、立ち上がらせた。

XJ「Aちゃん、大丈夫？」

「…」

意識は無いようだ。こうも無防備だと、この子の先が思いやられる。
…君は、とんでもない事件に巻き込まれているのに。
俺は彼女の未来を憂い、苦笑いした。

周りの客は飲み過ぎたAを心配するように、あるいは後ろ指をさすようにしてこちらの様子を気にしている。俺は目が合った客や店員に申し訳ないといった素振りで礼をしつつ、店の出口まで歩く。

…事が順調に進んでいる時こそ、警戒を解くな。

俺がいつもテンヒョンに口うるさく言われていることだった。

出入り口の向こう、繁華街を背景に、

こちらへ向かってくる数名の人影。

俺がAの身柄を後ろ手に隠した瞬間、“パン！”と轟音が店内に鳴り響いた。

それと同時に店内が真っ暗になり、客が悲鳴をあげる。
何かガラスか装飾の割れる音がした。
背後で誰かが銃を使って、照明を打ち抜いたんだ。つまり敵方の工作員がこの店に忍び込んでいた。

俺はAの身柄を抱え込み、イヤホンを装着する。

XJ「緊急事態！」

…バンはもう店の前につけてるはずだ。正面を突破出来さえすればいい。

しかし、目の前には…

……暗がりでその姿を詳細に確認することは出来ないものの、確実に居る。

俺たちの、宿敵が。

『わあああっ！！』

『クソっ、ぐ…あああっ！！』

客に扮して俺たちを取り囲むようにしていた構成員たちの断末魔が、銃声と共に響き渡る。

くそ、この事態を想定して援軍を仕込んでいたのに、まさか視界が奪われるとは思っていなかった。出口の方ではおぼろげながら、敵方の兵士が一人立って進路を塞いでいるのが見える。

このままじゃ確保されるのも時間の問題だ。
一人くらいなら、突破出来るんじゃないか。

俺は懐に差していたダガーを抜き、Aの体を抱えると、出入り口へ駆け出した。

だが、

XJ「うっ…！？」

足首にワイヤか何かを巻き付けられる。
そのまま俺は勢いよく横転し、顔面を強く床にぶつけた。

これは…

…フックショットだ。

間違いなく、あの“裏切り者”がそこに潜んでいる。

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