Crossed Destiny (ページ21)

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試験を無事に終え、ヘチャンやジェミンと別れた後、待ち合わせの時間までカフェで時間を潰した。この季節は外を歩くだけでメイクがよれるから大変だ。

涼しいカフェでゆったりと休みながらメイクを直す。
シャオジュンくんとはただの友達だと思ってるけど、人に会う時に小綺麗にしておくことは嫌われないための初歩的な作法だ。

だけど心の何処かでは、シャオジュンくんではなく別の相手に出会えるかもしれないから、なんてことを思い浮かべていた。

シャオジュンくんと別れるのはせいぜい9時、遅くても10時くらいだろう。この週末の夜に物騒な街を歩いていれば、彼に会えるかもしれない。…どうしても会いたいから、その“偶然”を能動的に探しに行くつもりだ。

マークのことを考えていたらあっという間に待ち合わせの時間が近付き、地下鉄の駅まで歩く。帰宅ラッシュと被って車両内は大変な混雑だった。電車を降り、改札を抜け、彼と待ち合わせしている5番出口の目立つ場所に立つ。

お腹空いたなとか、マークを探すついでにいつものクラブに立ち寄ってみようかな、とか。他愛も無いことを考えていた。

なんの気なしに顔を上げた瞬間、その切迫した瞳が私を捉えた。

HC「A！」

「ヘチャン…！？」

駅の人混みの中、息を切らしてこちらへ駆けてくる。
その焦りに満ちた瞳の色は、何かただ事ではないことが起きているのを物語っていた。途端に肝が冷える。

ヘチャンは私のもとに辿り着くと、上下する胸を押さえるように呼吸を整えてから、私の肩を掴んだ。その力の強さ、必死な眼差しに自分の心拍数が上がるのを感じる。

HC「あの男と、食事に行くって…？」

「あの男…？」

HC「大学の！中国人のやつだよ！」

「っ…」

HC「その顔は本当なんだな？…お願いだ、やめてくれ」

「なっ…なんなのよ、あんたが何言ってるのか全然わかんないんだけど…」

HC「おまえが危ない目に遭うんだよ…！」

今は何も説明出来ないけど、とヘチャンは吐き捨て、私の手を引く。私じゃ太刀打ちできないほどの強さで腕を引っ張られ、思わずよろける。
食事に行くなって、どうして。シャオジュンくんがなんだって言うの。

やめてよ、とヘチャンの腕を振りほどくと、彼は必死の形相で懇願してきた。

HC「お願いだ、A…！」

「ヘチャン…」

HC「その男は…危ないんだよ！」

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