Crossed Destiny (ページ17)

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◇魔の手ページ17

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JM「A。Aってばー」

「…」

JM「Aちゃーん」

「…」

JM「…A！」

「わっ！…ごめん、なんだっけ？」

JM「はぁ…」

ジェミンが頬杖をつく。
彼の綺麗な表情は、すっかり呆れた色に染まっていた。
…いけない。またぼうっとしていたみたいだ。

期末試験が続く時期だと言うのに、私は毎晩あまり眠れずにいた。お陰で起きている時間もずっと頭が回らないし、試験も思うように結果が出せない。

ずっと、彼のことが頭を離れないのだ。

あの、傷付いた笑顔に、暖かな手のひら。

JM「そんなんじゃ奨学金止められるんじゃないの。試験、全部上手くいってないし」

「…分かってるよ」

JM「てか、シギョンに聞いたけど。最近ずっと江南のあたりうろついてるんでしょ？」

「…」

…まったく、シギョンもぺらぺらと私のことを話さないでほしい。

あの夜の一件以降、またあの街を歩いていたら、マークに出会えるかもしれないって。そんな運命じみた偶然を願って、毎晩あてもなくあの街を彷徨うようになった。

足を踏み入れたら危険な目に遭いそうな場所だろうが、どれだけ汚い路地裏であろうが、彼の残り香を求めて。それでも結局彼には会えずじまいで、適当に立ち寄った飲み屋で憂さ晴らしをするように飲んでは、朝方に急いで家に帰る生活。

あの街はひどく汚れて荒んでいるけど、どことなく居心地の良さを感じていた。私の内面にも、似たようなものがあるからだろう。

“こんな街に、染まっちゃいけない”

“君の居場所は、もっと、他にあるはずだから”

…染まりたいなんて、微塵も思っていない。

私はあなたに逢いたいだけだ。

ジェミンは私が繁華街に出入りすることを良く思っていない。自分の管理の範疇外に出ることが気に入らないのだろう。大学だけでなく、私のプライベートにも張り付いて来ようとしてくる男だから。

それにジェミンは私のホスト通いを疑っているみたいだった。
いつもの私なら、こんなに私のことを心配してくれて嬉しい、私に粘着してくれて嬉しいと思うだろう。だけど今の私は、心ここに在らずというか、あの街の片隅に魂の全てを置いてきてしまったみたいだった。

なぜ、こんなにも強烈に惹かれるのだろう。

彼の心とひとつになりたいって、私の胸が叫んでいるみたいだった。

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