Crossed Destiny (ページ16)

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TN side

KN「じゃあ、“夢魔”の情報は正しいと…」

YY「居場所が分かってんならさっさと拉致でもして連れて来いよ。俺たちらしくない」

HD「それに…あいつらも動き始めているなら、俺たちだって先手を打った方がいいんじゃ？」

WW「…あの子、簡単についてくるよ。単純そうな子だった」

KN「そっか、ウィンウィンはもう見てるんだっけ？」

WW「うん。…奇しくも、あのAと同じ名前だったよ」

HD「…！」

銃を構えるときは、敢えて照準を定めない。

しっかりと銃身を固定し、息を深く吸う。

獲物が動いた一瞬を見逃さない。

ボクに早く動いた方がいいんじゃないの、なんて呼びかけるヤンヤンの声に生返事をしながら、ライフルの手入れを続ける。

最近お気に入りの歌を鼻歌で奏でていれば、痺れを切らしたようにヤンヤンが立ち上がってボクに詰め寄ってきた。

YY「分かった、テンヒョンがやらないなら俺にやらせてよ。女ひとり攫ってくることなんて朝飯前だ」

TN「まあまあ、落ち着いて。…彼女が、“夢魔”にみすみす情報を掴ませるわけがないでしょ？きっと、ボクたちにも1000億の少女を追ってほしいからこそ、彼女はわざと情報の抜け穴を作った…」

YY「…じゃあ、なんだって？」

TN「これはAからの果たし状。ボクらとの戦争を望んでる」

KN「…まさか」

HD「今の戦力では、あいつらは俺たちに勝てないんじゃ？」

TN「そこを奇策でどーにかすんのがAだよ。忘れたの？彼女は一筋縄じゃいかない」

1000億の少女をわざとボクらにも追わせて、キミは何をするつもりだ？

…そんなに殺し合いがしたいなら、望むところさ。

裏切り者め。

ボクはキミを愛しているからこそ、キミのことを絶対に赦さない。

出入り口の近く、ボクの席の正面に飾った絵画。
いつかAが好きだと言っていた。ヨーロッパ貴族の少女の肖像画だ。

照準を定め、引き金を引く。

途端に巻き起こる爆風、爆音。

TN「…あれ、実弾入ったままだった」

YY「ちょっと！！俺が買った壺が…あれいくらしたか分かってんの！？」

TN「えへへ、ごめんごめん」

保護ガラスが粉々になり、絵画に一発の銃弾がめり込んだ。
女性の左胸に突き刺さった弾丸。

…いつか、キミのこともこうしてあげる。

ボクは微笑んだ。

同じ名前を持つ、二人の女。

そのどちらも、ボクが捻り潰してやる。

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