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MK side
“1000億の少女を見つけた”
ヘチャンが息を弾ませて、俺たちにそう告げたあの日。
ようやく俺たちの逆襲が始まる。そんな思いで体の芯が熱くなったことを覚えている。
迷いなんて無かった。
ヌナに命じられた通り、どんな任務でもこなすつもりだった。
これで俺たちの目的は、完遂される。そのはずだったんだ。
…それが、まさかだ。
「染みませんか…？」
MK「…ううん」
「良かった…」
今俺の隣で、少し不器用な手つきで、看病をしてくれている。
その無垢な笑顔は、時折はにかむようにして隠れてしまう。
柔らかな茶色の髪が揺れるとき、俺の心に穏やかな風が吹く。
俺を見つめる眼差しはあどけなく、可憐で。
こんな少女を、巻き込んではいけない。
そんな思いを抱いた。
限りなく、確信に近い直感だった。
「マーク…さん、」
MK「マークでいいよ」
「…私は、Aです」
MK「…A」
「…」
俺がその名前を口にすれば、そっと頷く。
そんな彼女は、こんな俺と一緒に居て何故か嬉しそうにしていた。
まだ何も、自分のことについて知らない。
自分のルーツも、自分を取り巻く環境も。彼女は真っ白で、陽の当たる場所に居る、住む世界の違う人間。
その首筋に光るネックレスのチェーンを目にして、俺は嘆息した。
確かに不格好な結び目の包帯が、偶然視界に入る。
慣れない手つきで、俺を看病してくれた。
それは彼女の純粋な厚意。きっと相手が俺でなくても、同じことをしただろう。
触れられた腕が、頬が、手のひらが、まだじんわりと暖かい気がした。
…ここに、もう少し、あと少しだけ居たいと、願った。
“マーク。その女、ここまで連れてきなさい”
Aヌナの、冷ややかながら熱を秘めた眼差しを思い出す。
仲間たちの、期待に満ち溢れた表情も。
俺たちの復讐のためには、彼女が必要なのに。
俺は彼女を遠ざけたくてたまらなかった。
この街から、この夜から。
MK「…君は」
「…」
MK「悲しそうな目をしているね」
「……、」
MK「…俺と同じだ…」
“組織の掟は絶対だ”
そんなテヨンイヒョンの声が、頭の中に響き渡る。
俺の言葉に、瞳を潤ませる彼女を見つめる。
顔を手で覆い、俯いて、細い肩を震わせる。
…出来やしない。
俺は、彼女を傷付けたくなんかない。
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cooky(プロフ) - 設定がすごく良く作り込まれている作品だと思います！続きも楽しみです！！:) (3月19日 1時) (
レス) @page49 id: 8d4c7960bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2024年3月18日 2時
