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TN side
Aはどんどんキレイになっていく。
見た目だけじゃない。
中身が成熟していく過程が、ボクにはありありと分かった。それも当たり前だ。ボクは誰よりAのそばで、彼女を感じてきたから。
彼女の変化、
それがどうも、ボクを焦らせた。
…ボクよりもずっと遠い場所に、一番ダイスキなキミが、行ってしまうんじゃないかって。
ボクの本当の気持ちを打ち明けて、素直になって、そうしたら、もっと一緒にいられる？
…キミは、ボクだけ、見ていてくれる？
でも、思い返せば、Aはずっと彼女の素直な気持ちをボクに伝えていてくれたかもしれない。
クンの言うことが本当ならば、この数年はダレとも関係を持たずに、だけどボクだけには、真っ直ぐな愛情を向けていたのかもしれない。
Aは何度も何度も、ボクに“大好き”と言う。
だけどボクは、彼女のことが信じられなくて、いつも笑って誤魔化したり、横を向いたり。
そうして受け流すことに、Aを慣れさせてしまった。…悲しい思いをさせてしまった。
Aを信じてあげられなかったボクのせいだ。
…もっとボクが、素直になればよかった。
だから、今からでも、遅くない。
Aがボクに向ける笑顔の暖かさは、昔と何ひとつ変わらない。
真っ赤な薔薇の花を見つめながら、ボクは少し、そう考えていた。
…ずっと返事を出来ていなかった彼女の言葉たちに、応えたい。
Aはどんな顔をするかな。
驚いて、不思議がって、冗談だと笑うかな。
…たとえどんなに拒まれても、
それでもボクは、Aに伝えたい言葉があったんだ。
YY「…俺さ」
TN「ん？」
YY「多分、Aのこと、ちょっと好きだった」
TN「…」
夕日に照らされるヤンヤンの横顔。
ソウルの道路を走りながら、きらきら輝く漢江の景色が流れていく。
髪を黒く染めたヤンヤンがそう言う姿は、やけに大人っぽく見えた。
…ボクは彼の言葉に、あまり驚かなかった。
なんとなく、分かってた。
みんな、クンもドジュンも、それにジャニヒョンもテヨンイヒョンも、きっと、みんなそうだ。
心のどこかでは、ある種の好意をAに抱いている。Aには人を魅了してやまない、そんな力があるから。
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作者名：れいら
| 作成日時：2022年6月22日 1時
