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「……びっくりするくらいよく寝た…」
TN「アハハッ、ボクも！」
寝る前に大運動会したからだね、とさらりと言ってのけるテンの無邪気な笑顔。
私と同じ黒い髪が揺れ、大きなベッドに寝転ぶ姿は、私が愛してやまない景色だ。
何個もある枕を胸元に抱えて目を細めるテン。
朝日を眩しそうにするその仕草は猫みたい。
…寝ても覚めても、それでもずっと、夢の中にいるみたいだった。
あれだけ激しく抱かれても、やっぱり。
10時を過ぎて、目が覚めたの。
昨日は長い間に満たされなかったものたちを全て埋め合わせるように、私たちは何度も体を重ねた。
テンの吐息の熱さが、まだ私の身体に残っている。テンが私の中で溶けていく感覚を、私はこの世の至高と感じながら、恍惚の中に記憶していた。
倒れるようにテンの腕の中で眠りにつき、どちらからともなく目を覚ます。
穏やかな温もりを感じる、テンの腕の中で迎える朝。それは私にとって、やっぱり世界で一番幸せなこと。
寝ぼけたテンの表情は、とても甘くて可愛らしい。私はそんなテンに首ったけだ。
愛おしくてたまらなくて彼の耳に触れれば、テンはさらに目を細め、もう少し眠りたいと言いながら私の胸に顔を埋める。
そんなことさえ、あまりに久しぶりで、私は幸せに包まれていた。
この瞬間だけが、続いていけばいいのに。
願うにしては切なすぎる願い事を、何度もテンを抱きしめながら唱えたものだ。
だけど、そういうわけにもいかない。
午後にはもうここを出発しなくちゃ。
私のスケジュールを知っているテンは、少しだけ名残惜しそうに私の髪を撫でた。
TN「でも、帰国早々仕事なんて、ホント忙しいね。最近、キミはもっと人気になったみたい」
「んん… …ファッションの仕事はすごく楽しいし、疲れも気にならないからいいんだけど、」
TN「だけど？」
「…テンとプライベートも仕事も一緒にいられたら、それってすごく幸せだなって、思うの…」
TN「…！」
「…あなたと、…みんなと、音楽の仕事を、もっとしてみたい…」
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作者名：れいら
| 作成日時：2022年6月22日 1時
