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YY side
…いやまあ、ずっと前から、なんとなく察してはいたけれど。
Aがテンヒョンを大好きだってことと、多分それ以上にテンヒョンの方がAのことを好きなんじゃないかってこと。
喧嘩の理由を教えてはくれなかったけれど、その話題を口にするテンヒョンの姿は、今まで見たことが無いくらいに切なげだった。
Aを恋しがるような口ぶりからも、こっちの胸さえぎゅっと締めつけるような感情が伝わってきて。ああ、テンヒョンって本当にAのことが好きなんだろうなって、わかった。
俺はクンゴが匂わせるような2人の過去の出来事を知らない。
なんなら、本当はどんな関係なのかも分かっていない。男女としての仲があるのか、そうじゃないのか、そもそもそれって2人の絆にとっては重要なものなのか。
だけど、Aには一番幸せでいてほしいと思う。それにテンヒョンの存在が必須なら、2人でずっと仲良くしていてほしいと思う。
Aの部屋の方を見つめるテンヒョンの眼差しに、俺は少し複雑な思いを抱きながらも、そんなことを考えていた。
考えていた、んだけど。
いざAが自分の部屋から出てきた瞬間、
2人はまるで磁石が引き合うように、そして俺たちの存在なんてまるで見えていないように
テンヒョンからAに歩み寄ると、喧嘩していたらしいのが嘘のように、きつく抱きしめ合った。
TN「…っ、」
「……テン…、！」
TN「…A…」
「…お、かえり、なさい……っ、」
やっぱり泣いてしまったA。
テンヒョンは顔を起こし、Aの頬に触れると、指でその涙を拭いながら微笑む。
いつもの、あの目を細める仕草。
愛おしくてたまらないものを見つめる、あの優しい眼差しだ。
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作者名：れいら
| 作成日時：2022年6月22日 1時
