・ ページ13
.
スーチョン哥哥は私の親戚。
私のお祖父様のお兄さんが哥哥のお祖父様で、私が幼い頃から気付けば一緒に居た。
仕事で忙しいお父様に代わって、哥哥の家族のみんなは私を本当の娘のように扱い、可愛がってくれた。それは哥哥も然り。
お父様の仕事の影響で韓国と中国を行き来する中でも、哥哥は手紙と電話を沢山くれた。
友達が出来なくて悩んでた時も、中学生の頃いじめられていた時も、私には哥哥が居ると思えた。
だって彼はどんな時でも私の味方でいてくれる、王子様みたいな人だったから。
今の仕事を始めてからは学校という閉鎖的な社会で同年代のガキと関わる必要も無くなったし、元気になった私の姿を哥哥も喜んでくれている。
ダイエットして、ヘアメイクも一生懸命勉強して、もっともっと綺麗になった私を、哥哥はどんな表情で抱きしめてくれるだろう。
考えるだけで胸がいっぱいだ。
WW『SMには中国人の練習生もいっぱいいるんだよね？』
「うん。私が仲良いのはクンさん。すごくいい人だよ」
WW『体験入社の間に話せたらいいな』
「紹介する！ふふっ、きっと仲良くなれると思う。クンさん、とっても面白いんだから」
WW『Aがそう言うなら安心だね』
クンさんだけじゃない。
ジェミン、ジェノ、ドンヒョク、マーク、チソン。それにテヨンイと、ハンソルくんと、最近話すようになったドヨンくん、ユウタくん、テイルさん、ジェヒョンくん、ジャニ…
SMルーキーズのみんなは、本当にいい人たち。私が信頼するに値する、そう思えた人たちだった。
哥哥の将来がどうなるかなんて分からないし、私もまさか哥哥が中国舞踊の道からKpopアイドルになるなんて思ってもいないけれど、この1ヶ月の経験が哥哥にとって幸せなものになったら嬉しいな。
時計の針は9時を回った。
今日の電話も、これで終わりか。
でも明日、会えるのよね。
なんて嬉しいんだろう。こんなにも心が躍る夜は無い。
哥哥との通話を切って沈黙が流れた部屋の中で、私の鼓動は速まるどころか、音を立てて聞こえてくる。
…もうすぐで、約束の時間。
宿舎の守衛さん、見逃してくれるといいな。
スマホに入った、一件の通知。
私はそれを目に、嬉々として部屋を抜け出し、非常口の階段へと向かった。
“到着したよ、A”
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 975人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れいら
| 作成日時：2022年6月22日 1時
