守られるだけの存在じゃない ページ1
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*2020年
TY「NCTです！よろしくお願いします！」
『よろしくお願いします！』
WayVとしては去年に引き続き2回目、個人的にNCTとしては初めてのMAMAへの出演。今回は無観客開催だけど、相変わらずセットは大掛かりで、スタッフもすごい数。
これはリハーサルも収録も相当な時間がかかりそうだ。私が参加する曲は3曲、収録は深夜にまで及ぶだろうし、体力との戦いになる。
そこに、“あの日”が被ってしまった。
前はピルを飲んで管理していたけれど体に合わず、ホルモン剤で調整しながら管理している女の子のあれ。が、まさか、こんなハードスケジュールの日に被るなんて。いや、スケジュールの方が被ってきた、の方が正しいか。ほんとふざけんじゃねえよ。少しは私の体調に気遣えよ、このクソスケジュールが。
なんてこと、もちろん口には出せない。
KN「…A、気分は大丈夫？」
「ええ。ごめんなさい、心配かけて」
KN「謝らないで。少しでもおかしいなと思ったら、いつでも言ってね」
こっそりとクンさんが声をかけてくれる。
その柔らかな笑顔を見るだけで、下腹部の痛みも和らぎそう。なんてったってクンさんは私の下着の色からあれの周期まで全部知り尽くしてる保護者だもの。気を遣ってくれる人が1人でも近くにいるってだけで、安心感があった。
薬をちゃんと飲んできたし、きっと大丈夫よね。
大丈夫じゃなくても大丈夫にしてみせるのがプロ。
私はRESONANCEの最初の立ち位置につく。
隣のポジションはユウタくんとチョンロだ。
ラフな私服姿のユウタくんは、ぽんと私の肩に手を置く。
YT「ダンス頑張ろうな、A。」
「……なんでそんなこと言ってくるのよ」
YT「あははっ！睨むなって(笑)」
「もー、なんで女優スタートだった私がこんな大男に囲まれて激しいダンスを踊らなくちゃいけなくなったの…」
YT「でも俺、Aのダンス好きだよ」
「…」
滑らかでしなやかで、花の精みたいだから。
そんなロマンチックな理由を、ユウタくんはやけに真剣な表情で囁いてくる。
私は微笑んで、俯いた。
ユウタくんっていつもこう。
私のこと励まして、支えてくれる。
…やる時は必ずやる。
たとえダンスが嫌いでも、完璧にやりこなす。
私はまた前を向き、音楽が始まるのを静かに待った。
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作者名：れいら
| 作成日時：2022年6月22日 1時
