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JO side
Aは自責の念からか、テンを忘れるために、自分の中から振り切るために、色々な男と意味もなく関係を持つようになった。さながら、気を紛らわせるのにかえって必死になっていたように。
自分はテンを真剣に想う資格すら無いのだと、あの頃のAは自暴自棄になっていたように思える。
だけど、次はテンがそんなAの姿を知り、自分とはやっぱり上辺だけの関係に過ぎなかったのだと、深く傷付いた。
テンは、始まり方こそ悪かったけれど、割と最初の方からAとの関係には真剣に向き合っていたんだと思う。
あいつはAのことを大切に想い、やがてAの性格や人柄までもを好きになったんだと、俺でもテンのそんな内面の変化を感じ取っていた。
だからこそショックだったんだろう。
Aは自分を心から好きなわけではなく、ただ、好奇心を持って近付いてきただけだったんだって。
…それはとんでもない勘違いと誤算だよ。
好き過ぎるからそうなってんだよって、俺、何回もテンに言ったんだけどな。あいつも結構頑固なところあるから、全く聞く耳を持たないまま今に至る。
とまあ、この通り、見事な拗らせっぷり。
ちなみにテンは俺もAと関係を持っているのだと疑っているらしい。
…絶対無いから安心しろ。Aは俺にとって可愛い可愛い妹だ。
と、何回言ってもやっぱり聞く耳を持たないあいつは、もうシンプルにバカだと思う。
「…私、あのとき、ほんとにテンのこと…傷つけちゃった……」
JO「…」
「あのまま…ソミンちゃんと付き合ってたら、幸せ、だったよね…」
JO「うーん…」
「はぁ、まじで、私って最悪…」
泣きそうな表情を誤魔化すように、焼酎を飲むA。だけどその瞳は充血している。
俺はただ、Aの頭を撫でた。
…慰めの言葉をかけたくても、Aこそ頑固だから、意味が無いんだろうな。俺はやっぱりAのことをよく分かっていた。
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作者名：れいら
| 作成日時：2022年6月22日 1時
