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「…偉いね、マークは。そんなにも真剣に、自分と仕事に向き合ってるなんて」
MK「そうかもしれないけど、実際に結果が伴ってないよ…」
「いいじゃない。結果より、課程と姿勢が大事だよ」
MK「…」
「たとえミスをしても、誰もマークを責めないよ。だってマークは、姿勢で示しているもん。カムバックも、コンサートも、どっちも最高の形にしたいから、そんなにも自分に高いハードルを与えて、飛び越えようとしている。その姿を見るだけで、メンバーやスタッフが学ぶことはたくさんあるはずよ」
MK「…A…」
「…頑張り過ぎないでって言っても、マークは頑張るよね。…ふふっ、そんなマークが好きだから、私もどうしようもないなぁ」
私は笑って、天を仰いだ。
…こんなの、慰めになっているかな。わかんないや。
すると、マークも渇いた笑いをこぼし、同じように天井を見上げる。そして、そっと私に視線を重ねる。
なにげなく、彼は私の髪を撫でた。
優しく、微笑んだ。
MK「…明日は絶対に上手くやらなくちゃって、自分を脅迫しちゃう」
「いいんじゃない。そうしちゃう癖を、無理に直す必要なんて無いでしょ。それがマークなんだもん」
MK「治さないとなって思ってるよ。悪い癖だから」
「悪くも何も無いよ。自分に厳しくて、目の前のことに一生懸命で、誇りとプライドを持っている。そういうことじゃん。どこも悪くないよ」
MK「…そう、なのかな。…ははっ、どうしていつも、Aが言うと全部いい言葉みたく聞こえるんだろう…」
「物事なんて見方次第でどうにでも変わるよ」
MK「…」
「マークには石ころに見えても、私には宝石のように見えたり。その逆もある。人の価値観なんてそれぞれで、客観的に見たら、自分が思うよりも自分の状況って悪くないかもしれないって、励まされることもあるかもしれないでしょ」
MK「…」
「マークの考えを否定するわけでもないし、私の意見を強制するわけでもないし。でも、違う考えがあることが、こんな時にはマークの励ましになったらいいなって、私は思ってる」
マークの背中に腕を回す。
彼の体に倒れ込んで、昔よりずっと大きく、逞しくなった胸板に頬を寄せた。
…ちょっと、熱く語りすぎたかな。
私らしくないや、なんて微笑む。
でも、これがほんとの私かな。
マークの前だと、いつもより心が柔らかくなる。
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作者名：れいら
| 作成日時：2022年3月7日 18時
