嵐の前の静けさ ページ42
.
怒涛の2021年を終え、年末年始はゆっくりと過ごすことが出来た。最初の数日は釜山に帰って、カナダ留学から帰国したばかりの妹とも数年ぶりに顔を合わせたりなんかした。
だけどみんながそれぞれの実家から戻ってきて、また宿舎で会った時なんかには、むしろここが実家なんじゃないかっていう安心感さえ芽生えたものだ。
みんなの顔を見ると、とてもほっとする。
そんなことを感じては嬉しくなっている自分に、やっぱり驚いた。
そして今日は新年恒例、
一人で会社に出向いて、先生と面談する日。
「あっ…！」
『ごめんごめん、待たせたね。ほら、座りなさい』
「明けましておめでとうございます！釜山からお土産持ってきました」
『えぇ！わざわざ毎年いいのに！いやー、ありがとう！』
時間から少し遅れて、理事室に現れたイスマン先生。新年も相変わらずお元気そうで良かった。
お土産が入った紙袋を手渡して、言われた通り椅子に座る。身が引き締まるようで、ほんの少し安心するのは、私もだいぶSMエンターテインメントという会社に馴染んできたからなのだろうか。
まるでここに居る人々が、家族みたいだ。
おかしいくらいに、そう信じてやまない私が居る。
『年末は忙しくてろくに話が出来なかったもんね。ここで時間が取れて良かった』
「先生、お忙しいところ本当にありがとうございます。僕に時間を割いてくださって…」
『毎年やってることだろう。むしろこうやって君の意志を確認する場が無いと、僕も向こう一年の間気が気じゃなくなっちゃうんだよ』
「…そう、ですか。そうですよね。僕もそう感じます。なんだかここが、毎年自分の足元を確認する場所みたいで。記念碑を一つずつ置いていってるみたいです」
『僕にとってもそうだよ。…ところで、A』
「はい？」
『君は僕しかいないところでも、“僕”と言うんだね』
「…もう、癖みたいなものなので。すみません、先生の前で自分を偽っているわけでは…ないんです」
『理解しているよ。君なりのプロ意識なんだね』
さて、と スマン先生はテーブルの上で手を組んだ。
その眼差しはほんの一瞬、鋭くなる。
『A、今年の契約はどうする？』
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 939人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NCT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れいら(プロフ) - てなさん» コメントありがとうございます！そちらのお話も読んでくださってるんですね！大ファンなんて…嬉しいです🥺自分でも作品の温度差が激しすぎてびっくりしてます() 両方の作品を楽しんで頂けるよう頑張りますね！私も大好きです💖 (2022年1月7日 0時) (
レス) id: c38a85a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - つい最近作者様のお話を知って一気読みしました！もう一個の連載の方も大ファンなのですが、「あっちで大変なことになってるメンバーもこっちでは楽しそうだ…！」と、王子様と呼ばないでを読んでいるとほっとします笑笑これからも楽しみにしてます！大好きです！ (2022年1月7日 0時) (レス) id: ee497d0949 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れいら
| 作成日時：2022年1月6日 23時
