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KN「…みんな大人っぽいってAのこと言うかもしれないけれど、それでも僕たちにとっては可愛い妹だよ。だからジェノもそういうことを言ったんだろうね」
クンママが穏やかな声で、私の背中を撫でながらそう言う。
不意のその一言が、優しい尾を引いて私の心に余韻を残した。
…可愛い妹、か。
メンバーに何度そう言われても、からかわれているとしか思えなかった。可愛い妹なんて、わたしのそれまでの人生とは無縁な言葉だったから。
お姉ちゃんとしてしっかりしなくちゃ。
韓国に行くからしっかりしなくちゃ。
一人で上京するからしっかりしなくちゃ。
男の子として活動するから、しっかりしなくちゃ。
ずっとそんな人生だった。
人に甘えるとか、許されないと思ってた。
それでもクンママがそう言うと、妙に説得力がある。
みんなに、もう少し甘えてみてもいいのかもしれないって。
そうやって自分を許したような気持ちになると、また心が楽になる。
自分を一番縛り付けてたのは周囲の目でもなく、環境でもなく、自分自身の意識かもしれないな。
自立することばっかり考えなくてもいいんだ。
…そう思えると、なんだか私はまた一つ大人になった気がした。
甘えることを覚えることで大人になるって、変な話だけど。自分に必要なものが何か分かるようになると、それが大人になるってことだと思う。
私には頼れる人が必要なんだ。
…近くに23人もいるのに、頑なに頼ろうとしなかったのはどうしてだったんだろう。
「…ママ」
KN「はい？(笑)」
「今日ママと一緒に寝たい」
KN「おっ！甘えん坊さんスイッチ入ってきたね(笑)」
「ふふっ(笑)」
KN「僕は別にいいけど、明日早くないの？」
「うん！お昼過ぎまでスケジュール無いよ」
ぴったりとママの胸に頬を寄せて、微笑む。
優しい木漏れ日の中にいるような香水の匂い。ママの香りがとっても好きだ。
ずっとこんなところにいたい。
目まぐるしく動いていく毎日の中で、クンママの温もりは私をめいっぱいに癒してくれる。
ふと彼を見上げれば、目が合う。
くすりと微笑んで、クンママは私のことを抱きしめた。
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作者名：れいら
| 作成日時：2021年11月25日 20時
