ママの本音 ページ44
.
KN「…どう？」
「……うん！このテイク使おう！」
KN「だよね！僕もそれがいいって思ってた」
時計の針はとっくに12時を越えている。
それでも一度始めると止められないのが私たち。ずっと録音して、確認して、ミックスして、その繰り返しの作業が楽しくてたまらないの。
納得のいくテイクを録れて、彼がうんと伸びをした。私はその様子を見て微笑む。
「おつかれクンママ、いつもありがとう♡」
KN「ママじゃないでしょ、オッパでしょ(笑)」
「クンママ大好き〜！！」
椅子にもたれかかってるママに抱きつく。この子は全くもう〜とか言いながら背中を抱いてくれるママが大好きだ。
クンママと一緒に音楽を作り始めて2年くらい経つだろうか。人見知りで友達も全然いない私が、比較的短期間で心を開けた暖かさを彼は持っている。
だからこんな風に甘えてしまう。本当のママみたいな優しさがあるから好き。
KN「あとでファイルはスマホに送っておくよ。今日はここまでにしよう」
「ありがとう、ほんとお疲れ様。いつも忙しいのに夜中までありがとね」
KN「Aこそ、いつ寝てるの？(笑)」
「ふふっ、音楽のためなら命削るよ」
KN「ロックスターみたいなこと言わないの、命が無かったら元も子もないでしょ。健康に過ごさなきゃ！お腹空いてない？」
「…空いちゃった。」
KN「よし、デリバリーしよう(笑)」
「カムバ近いのに夜中に食べる罪悪感…(笑)」
KN「美味しく食べれば問題無いよ！」
クンママの膝の上に乗って、後ろからぎゅーっと抱きしめられながら一緒にメニューを選ぶ。深夜だし軽めのものを食べよう。
「よし、チキン」
KN「こら(笑)」
「え？(笑)」
KN「せめて春雨スープとかそういうのにしなさい(笑)」
「だってお腹空いたんだもん…このフルコンボセットがいい……チキン…チーズボール…ポテト…」
KN「さては一人で食べるつもりだな…」
「ママ、お願い♡」
KN「…みんなには秘密だからね。(笑)」
「やったー！！」
全く〜とほっぺをむにむにされながらも、注文してくれるクンママの腕に触れる。温かい彼にもたれかかって、普段は誰にも甘えられない私が甘えられる数少ない相手にこうしてもらってる時間が、実はとっても嬉しかったりする。
チキンの到着を待っている間、楽曲が完成した満足感に浸りながら他愛もない話をした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1022人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れいら
| 作成日時：2021年11月25日 20時
