王子様と呼ばないで (ページ37)

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…ジェヒョンさんの前だけなんだけどね。
こんな風に、自分の考えてることがぽろぽろ口に出ちゃうのは。

でもそんなことはさすがに、本人を前に言えるわけがなくて。
なんだか嬉しいようで恥ずかしいようで、ジェヒョンさんの手の温もりを感じながら俯いた。
また、くすくすと微笑むジェヒョンさんの声が聞こえてくる。

JH「かわいい」

「………え？」

JH「じゃあ俺、そろそろ行くね」

「あっ、ジェヒョンさ…！」

JH「バイバイ、王子様」

「…ジェヒョンさん！！！！！！！！！」

JH「あははっ！！(笑)」

…意地悪。
絶対私が嫌がってるって分かって言ってるもん。涙目で怒る姿を気に入られてしまってる。

でも去り際、私のほっぺをつんつんと指でつついて、甘い笑顔を見せてくれた。
そんなジェヒョンさんにいつも振り回されて、いつもドキドキさせられて、いつも幸せにさせられてる。

“かわいい”

…その言葉が、私の聞き間違えじゃなければいいのに。夢みたいに優しい声だったから、わからない。

まだぽーっと夢を見ている気分だ。
大きな憧れの背中が廊下の向こうに見えなくなるまで、見つめていた。

いつまで経っても進展しないようで、だけどほんの少しずつ近付いていってるって信じたい。

ジェヒョンさんとの関係はとっても曖昧だ。

私のこと、どう思ってるんだろう。

いつでもその笑顔が暖かいから、余計に分からないの。

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