【東海】Deep Down (ページ41)

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青ルート１４ページ41

あの女の子は彼女じゃなくて妹さん…
で、この紙袋は私宛てのものだったらしい。

未だに半信半疑ではあるけど。
そんなこと言ったら怒られそうだから黙っておく。

何度も何度も開けていいのか確認して、ようやく紙袋を開ける。
そこには。

「わあ、かわいい…！」

薄ピンクを基調にした、ブランドもののカシミヤのマフラー。

「巻いてあげる」

りょうくんが、私の顔を覗き込むようにしてマフラーを首に回していく。

これ、本当に私に？
今日一日、最悪な態度とりまくった私に？
優しいというか、嬉しいというか。
突然訪れた幸せに、少し不安になる。

「どうかな…？」

鏡がないので、おそるおそるりょうくんに意見を求める。

「うーん…」
「え、うそでしょ？褒めてくんないの？」

パシャッ。
あぜんとしている私に携帯電話が向けられる。

「ちょっと！」
「うん、かわいい。似合ってる」

撮影した私の写真を眺めながら、楽しそうに笑うりょうくん。

「なんでそっちに向かって褒めるの…」

それでこそりょうくんっぽいけどさ…
はあ、とマフラーに手をかけてほどこうとしたとき。

「ねえ、俺がなんでマフラー送ったかわかる？」
「え？」
「マフラーを送る意味、知ってる？」

えっと…たしか。
ひとつ、思いあたる。
高鳴りだした鼓動を感じながら、答える。

「あなたに首ったけです…みたいな？」
「まあ、それもそうなんだけど」

うそ、はずした？
なにそれ恥ずかしい。消えたい。
私自意識過剰すぎるじゃん。

「それだけじゃ60点くらいかな。あとの40点はね、」

片方の口の端を吊り上げて。

──あなたを＂束縛＂したい。

耳元で。
低くて重みのある声でささやかれる。

「っ、」
「どうせAのことだから、マフラーもらって嬉しいとか俺のこと優しいとか思ってたんだろうけど」

びっくりする私を見てりょうくんがにやっと笑う。

ああ、悪い顔してる。
ちょっぴり怖くて、色気も含んでて、でも私のとっても大好きな顔。

「バカだねAは。もちろん喜ばせたかったのは本当だけど、俺が優しいわけないでしょ？」
「りょうくんは、優しいよ…？」
「そのマフラーをあげた本当の意味は、Aの周りから男を消すためだよ」
「えっ」
「男って、気のある女の人のことはとにかく褒めまくろうとするからさ。だから、できるだけそれ巻いといてね」
「うん…？」
「もしAがマフラーのこと褒められたら、俺からもらったって言いなよ」

優しい悪魔が、笑う。