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青ルート1 ページ28

「みんなのこと騙してきちゃったね」

隣でハンドルを握り、楽しそうに笑うのは。

「それりょうくんだけだから!私は正直に、ふたりでごはんに行くって言おうと…」
「んなことしたら絶対ふたりになれないでしょうが」

軽く吐き出された言葉にドキッとする。
私たちは、別に付き合ってるわけでもなんでもない。
ただ一方的に私がりょうくんを好きなだけ。

…だと思ってたんだけど。
ときどき、りょうくんはとっても思わせぶりな態度をとる。
今だって。

「あいつらが来たら抜け駆けの意味ないからなぁ」

ふ、と笑う横顔を見つめる。
くそう、小悪魔系男子め。
またそんなこと言って私を舞い上がらせて!

「Aはあいつらがいたほうがよかった?」
「え…いや、そんなこと…ほ、ほら!みんながいたらうるさすぎるし?」
「ふーん。そっか。なんかもっと他の理由かと思ってたんだけどなぁ?俺の勘違い?」
「さぁ…そうなんじゃないかな…」

ああ。これ小悪魔じゃなくて悪魔だ。
こっそり横顔を盗み見る。
高い鼻とか、喉のラインとか、がっしりした手とか。
色気だだ漏れ。勘弁して。

ふと、数十分前の晩ごはんジャンケンの様子を思い出す。
「A用事あるんだってー。なんか俺の家の近くらしいから、A送って俺もそのまま今日は帰るわ」
なんてしれっと言い出したりょうくん。
余計なこと言うなよ?って目で合図されて、私は頷くしかなかった。

…意外と強引だったなぁ。
悪魔キャラ、お似合いかもしれない。

「そういや明日から二日もオフか」
「まとまった休み久々だよね」
「Aはなんか予定あるの?」

りょうくんがたずねる。

「明日は中学の友達と飲みに行くの」
「へぇ、いいね。飲みすぎちゃだめだよ」
「わかってるよお母さん」
「ねぇうざ、心配してあげてんのに」
「じゃあ迎えに来てよママ」
「明日は俺も予定あるから無理でーす」

おどけたように返される。

予定か…気になる。
でも詳しくは聞き返さない。
女友達と、なんて答えだったらへこむし。

それに、いつも通りはぐらかされるのがオチだ。
私の予定は把握したがるくせに。
ずるい。うん、やっぱり悪魔。

その後もたわいのない会話を交わし、ちょうどお腹も空いてきた頃、車が停止した。

「はい、着いたよ」
「やった、運転ありがとう王子」
「姫のためならどこへでも?」
「なにそのキャラ、似合いすぎて引く…」
「こーら、つっこみなさい」

顔を見合わせて、どちらともなく吹き出した。

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作者名:V | 作成日時:2018年10月29日 17時

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