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緑ルート4 ページ18

リビングへ足を踏み入れる。

「なにこの部屋…」

テーブルの上に散らばる、数本のお酒の空き缶。

「ずいぶんと派手に飲みましたね…」
「別に。家でならこんぐらい普通だろ」
「…なんかあったの?」
「…なんもねぇよ」

いや、その顔は絶対あったでしょ。
…まさか。
ここに彼女がいないのは、連れて帰らなかった(・・・・・・)わけじゃなくて…?

「フラれた?」

たずねてから、この質問は電話を盗み聞きしていたことを肯定していることに気付く。

「…うっせ、まだわかんねぇよ」

セーフ…?
相当メンタルがやられているらしい。

「こっち座れよ」

ちょいちょいと私をソファーへと手招く。
そして、すっと差し出されたそれ。

「なに、このグラスは」
「なにって…は?飲まんの?」
「え、なんで逆ギレ…?」
「いいから付き合えよ」

立ち上がったとしみつが、冷蔵庫からまた新たに缶ビールを取り出し始めた。

「…飲みすぎじゃない?」
「飲まんと無理」

そう吐き捨てて、どさっと私の隣に座り込む。

…近い。
普段の私なら、きっとドキドキしていただろう。
でも今は。

「あっちのソファーに座ってよ」
「俺の家なんだからどこ座ろうが自由だろ」
「お酒くさい」
「どうせお前も酒くさくなるやん」

ん、と乾杯させられる。

「それにさ、香水くさいもんとしみつ」

チク、と嫌味を言ってやる。

「こーすい…」
「そう、香水」
「この匂い、嫌?」

大きな目が私をとらえる。

「まぁ…ちょっとは?」

多分、どんな匂いでも嫌。
それが私以外の女性のものである限り。

「…潮時ってことなんかな」

脈絡なく、ぽつりと話し出すとしみつ。

沈黙を守る。
ここで頷けば冷たいやつだと思われるし、否定すれば自分を傷付けることになる。

どっちにしろ、私が自分勝手なことに変わりはないのだけど。

「お前、しんどいん?」
「…へ?」
「すげぇつらそうな顔してね?もう酔ったとか言わんよな?」

顔を覗き込まれて、慌ててそらす。

「…全然。ていうか、その人のどこが好きなの?」

バカだ。
動揺しすぎて自爆した。

「んー、笑顔がかわいい」

…それはもうこっそり聞いたよ。

「あんま素直じゃない、けど。照れたときとかは最高にかわいい」
「へぇ…ツンデレなんだ?」
「まぁそんな感じ」

優しく笑う姿に見とれる。
同時に、嫉妬で胸がうずく。

「偶然…だね。実はさ、私の好きな人もツンデレなの」
「…は?」

そうこぼしたのは、いちるの望みか、諦めからか。

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作者名:V | 作成日時:2018年10月29日 17時

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