媚びうま選手権!〜てつや編〜 ページ28
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【 サブチャン 】
て「A〜」
最後はてつや選手。お前は最初に謝りにくるべきでしょキャラ的に。そこにキレそう。え、理不尽?
PCから視線を外さずに無言を貫いていると、彼は少し離れた場所から、ごめん、とぽつり。これをシカトする私やばくね。
て「横座っていい?」
うん、座らなきゃ始まらん。多分今あなたは見切れてるもの。くい、と顎で隣を指しておく。
て「…さっきはほんっとごめん!」
許可を得るなりすり寄ってくるオレンジ頭。めっちゃ頭下げてくるやん。それが普通だけど。
おそるおそる私の顔色を窺っているが、そもそも怒ってないから表情も変わりようがなく。
だから仕掛けてみましょう。
「はぁ…」
意味のないため息。絶賛うざい女かまし中。無視した上にこの態度である。
でもここで嫌な顔ひとつしないのがこの温厚男なわけで。
て「どった〜編集疲れたか〜」
どうしてそうなった。でもこれ頷いたらどうなんの?編集交代したげる!ってなんのかな。
「…ん、疲れた」
て「そっかぁ。じゃあわしが癒してやろう」
編集じゃないんかい、と心の中でツッコんだ矢先、てっちゃんが勢いよく私の頬をつまんできた。いわゆるタコ顔状態。絶対今顔面ブス。
癒しとは?(哲学)
て「普通にちゅーしたい」
「やへてくだひゃい」
しれっと顔を近づけてくるもんだから、とっさに目の前のほっぺをつまみ返して動きを封じる。
キレてる女と謝りたい男が、お互いの顔面をクソブスにさせている。どういう状況?
て「そういや、Aとやろうと思ってこの間買ったゲームあってさぁ、今からやらん?」
私の手をどかしながら、この変な空気の中で平然と口火を切ったのは向こう。
「新、作…だと?」
て「そ。まぁ、Aがいやなら俺1人でやるけどね」
「え、待って?待と?」
て「どー?やる?」
「やらんわけがない…!」
て「ん。じゃあおいで」
…動画?もうじゅうぶん撮れたっしょ!
どうも、目の前の欲望に打ち勝てない浅はかな女です。
ばれないようにそれとなく録画を中断させながら、ふと不思議に思う。
そういやほっぺまで触られたのに、なぜかこれまでみたいに、てめぇ手洗ったのかオラァ!とはなんなかったなって。
…多分ろくに風呂も入らない人の前じゃ、それも些細な問題と化しちゃうんだろうね。うん。錯覚こわ。
ていうかてつや以外の全員に隠し撮りばれてんじゃん。雑魚くね私。むしろてつやが雑魚いのかな。
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作者名:V | 作成日時:2018年9月6日 0時